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36.ハイエルフの先生と弟子



 ある日のこと。

 飛竜から、森で魔物に襲われている人がいる、と報告を受けた。


 ちーちゃんに爆速ダッシュで現場へと連れて行ってもらう。


「はぁ……! はぁ……! せ、師匠せんせい! しっかり!」


 老紳士と、背の低い女の子が逃げている。

 男の方は腹部から出血が見られた。


「おいっ、大丈夫か!?」


 俺はすぐさま、ふたりに近づく。


「!? き、貴様! われらが見えているのか!」


「え、うん。なんで?」


「……信じられない。師匠せんせいの高度な隠蔽の魔法を見抜くなんて……」


 ブツブツと小声で何かを言う女の子。


「ちょっと下がってろ。おまえら、敵に追われてるようだな」


 ガサリ、と茂みが動くと、向こうから巨大な熊が現れた。


 赤い毛皮の熊……【赤熊レッド・ベア】だ。


「に、逃げろ! 貴様程度がかなう相手じゃあない!」


 女の子の忠告を受けても、俺は逃げない。

 赤熊が巨腕を振り上げて、俺を爪でたたっ切ろうとする。


 パシッ……!


「なっ!? あの巨腕を受け止めただとぉ!?」


「【麻痺パラライズ】」


 びくんっ! と赤熊は麻痺し、その場に崩れ落ちる。


「し、信じられない……Aランクモンスターだぞ……それをただの一撃で……!?」


 俺は女の子に近づく。


「そんなことはどうでもいい。……出血が酷いな。すぐに応急処置しないと」


 老紳士に近づこうとするが、女の子はかばうように前に出る。


「人間ごときが、師匠に触るな!」

「ふざけんな! それで師匠が死んだらどうする!」


 びくんっ! と女の子が萎縮し、涙目になる。


「う、うう……」

「師匠!」


 老紳士がうっすらと目を開けて、俺を見やる。


「【リフィル】……彼の、治療を受けさせて、ください」


 女の子……リフィルは目をむいて言う。


「し、しかし師匠!」

「許可が出たんだ。治療の邪魔だ。どいてろ」


 俺は老紳士を横たわらせ、状態を確認する。


 どうやら熊の攻撃を腹部にもろに受けた様子だった。


「無駄だ。師匠は【ハイエルフ】。高い魔法攻撃力とともに、魔法防御力を兼ね備えている。治癒魔法もガードされてしまうのだ」


 ハイエルフには治癒魔法が効きにくいってことか。


「それは師匠ですら、自ら治癒を施すことができない。貴様程度じゃ、絶対に治すことは不可能だ」


「やってみなきゃわからねーだろ。どいてろ」


 俺はスキル【神の手】を発動。

 腹部の傷に、文字通り手を当てる。


 すると癒やしの光は、瞬く間に老紳士の腹部の傷を癒した。


「そ、そんな! 治癒が効いてる! な、なんて強力な治癒魔法なんだっ!? お、おまえ……何者だ!?」


「ただの獣ノ医師だけど」


「う、う、嘘をつくなっ!? し、飼育係ごときにこんな高度な治癒魔法が使えるわけがないだろっ!?」


 そのときだった。

 老紳士が起き上がったのだ。


「いや、彼ならできるだろう。さすがチノくんのお兄様だね」


 ニコッと笑う老紳士は、妹の名前を出してきた。


「妹の知り合いか」

「かつて彼女を教えていたことがあります。申し遅れました、私は【リヒター】と申します」


 チノの魔法の師匠ってわけか。


「俺はジーク」

「なるほど、やはりジークくんは素晴らしい人材のようだ。是非とも我が国に欲しい」


「国?」

「ぶ、無礼者ぉ! この御方をどなたと心得る!」


 リフィルが顔を真っ赤にして叫ぶ。


「エルフ国【アネモスギーヴ】の国王、リヒター殿であらせられるぞ!」


「こ、国王!? エルフの!?」


 またトンデモナイ人物が、こんな森の中で何をしていたのだろうか……。


「私はチノくんの言っていた、優秀な魔法使いをスカウトに来たのだよ」


「え? お、俺のことか……?」


「ええ、どうでしょうジークくん。その偉大なる魔法の腕を、ぜひ我が国で振るっては……」


「すまん、断る」


「おや、どうして?」


 いやもう、獣人国で獣ノ医師やっているもので……。

【※読者の皆さまへ とても大切なお願い】


「面白い!」

「続きが気になる!」

「もっともっと国王たち『ざまぁ』されろ!」


と思っていただけたら下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】に変えて、作品への応援おねがいいたします!


面白かったら星5つ、

つまらなかったら星1つ、素直に感じた気持ちで全然かまいません!


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★1巻11/15発売★



https://26847.mitemin.net/i778881/
― 新着の感想 ―
[気になる点] エルフハイエルフで違うのかもしれないけどあのクズと多少は繋がりあるだろうにどう落とし前付けてくれるんだ?
[気になる点] 野暮なツッコミなのかも知れないが、そもそも国王ほどの身分の人に『~殿』て使っていいんだっけか? 『~陛下』ないしは『~様』な気がして、なんか違和感を感じてしまった・・・スンマセン。
[一言] 何回も同じセリフを言わなきゃいけないジーク…
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