33.ザコモーノ、召喚獣たちに逆襲される
獣ノ医師ジークの活躍により、魔の森に住まう魔族を撃破した。
話はその数時間後。
ザコモーノは、遠く離れた、魔の森の外にいた。
「はぁ……! はぁ……! くそくそくそっ! ジークとあのクソ女めえええ!」
憎しみの表情を浮かべて、ザコモーノが地面に突っ伏し、だんだんと叩く。
さて、彼はジークの麻痺を受けて動けなくなっていたはずなのに、どうして無事なのか。
それは、彼のスキル【入れ替え転移】を使ったのだ。
ザコモーノの本当の職業は、召喚術士だ。
契約した【動物や魔物】を、召喚獣として操ることができる。
召喚術士のスキル【入れ替え転移】とは、召喚獣と自分との位置を入れ替えることのできるスキルだ。
彼はこれを使い、森の外で待機させていた召喚獣と、位置を入れ替えたのである。
「リズベットめ! くそっ! くそっ! あんなポッと出の男になびきやがってぇえええ!」
彼はリーダーであるリズベットのことが好きだった。
彼女の気を引くべく、今まで必死に頑張った。
だが一向に振り向いてもらえず、それどころか再会したという旧友に、取られてしまった。
「今日まで必死で頑張ってきたのに! 全てが水の泡だ!」
……ちなみに、彼は今まで召喚獣をリズベットたちパーティに、何度かけしかけたことがある。
そのたび召喚獣をこっそり操り、あたかも獣を退けたふうに、窮地を救うフリをしてきた。
それも全部、リズベットの心を手に入れるためだったのが……すべてが水泡に帰してしまった。
「こうなったらもうやけだ! 全召喚獣どもを操って、あの女をジークごと食い殺させてやるぅ!」
転移して入れ替えた召喚【獣】には、すでに【命令】を下している。
そのほか、森の中に待機させていた召喚獣達も、ジークたちを襲うようにしむけた。
彼はそうやって、獣を無理矢理操り、人を平気で襲わせ続けたのだ。
「うひゃひゃ! 今頃あいつら獣たちのエサになっている頃だろうなァ……! ギャハッ! おめえが悪いんだぜぇリズぅ~。おれのものにならないのがよぉ……!」
……と、彼が調子に乗っていたそのときだった。
「グルゥウウ……」「ガウウゥウ……」
「あ? なんだ……?」
気づけば周囲に、無数の獣の気配がした。
そこにいたのは、自分が契約している召喚獣達だ。
「な、なんだよおまえら……? まだ帰還命令は出してないだろ!」
だが召喚獣達はザコモーノの言うことを聞かず、にじり寄ってくる。
「な、なんだよおまえら! くそっ! 【戻れ!】」
懐からカードを取り出し、それを召喚獣達に向ける。
召喚術士は彼らをカードの中に収納することができるのだ。
……だが、彼らは戻らなかった。
「そ、そんな! どうしてぇ!?」
さもありなん。
獣ノ医師ジークによって、召喚獣達は正気を取り戻していたのだ。
ジークは、魔王の呪いを解き、魔物を正気に戻す力がある。
彼を襲わせた召喚獣達は、あっさり返り討ちにあったあと、治療を受けた。
その際に呪い、つまりザコモーノとの契約も解除されていたのだ。
結果自由になった召喚獣達は……今まで自分たちを無理矢理操り、悪事を働かせていた人間に復讐しに来たのだ。
そう、ザコモーノに。
「グガァッ……!」
契約していた雷狼が、ザコモーノの腕にかみつく。
「ふぎゃぁああああああああ!」
その後続々と、魔物たちがザコモーノに襲いかかってきた。
「や、やめろぉおおお! おまえらぁ! おれは主人だぞぉおおおおお! 言うことを聞けぇえええええ!」
だが獣たちがザコモーノの命令に従っていたのは、スキルの力が有ったから。
獣にだって自由意志があって、それを無視して無理矢理動かしていた。
彼らがザコモーノに恨みを抱いていないわけが、なかった。
「ひぃいい! いやだぁ! だ、だれかぁ! 誰か助けてくれぇええ! 誰かぁああああああああああ!」
……ザコモーノの悲鳴が、むなしく響く。
彼を助けてくれる人間はおろか、彼の召喚獣達すらも、助けてくれず……。
獣たちに食い殺され、惨めな最期を迎えたのだった。
【※読者の皆さまへ とても大切なお願い】
皆様のおかげで、現在日間総合ランキング【6位】まで来れました!
ありがとうございます!
しかしここからの伸びが本当に難しい、、、もう少し、あとちょっとで念願だった1位に手が届きそうなのですが、、、
次のランキング更新が、最後の1位チャンスかもしれません。
もしまだの方がいらっしゃいましたら、ぜひポイント評価のほどよろしくお願いいたします!
「面白い!」
「続きが気になる!」
「もっと国王たち『ざまぁ』されろ!」
と思っていただけたら下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】に変えて、作品への応援おねがいいたします!
面白かったら星5つ、
つまらなかったら星1つ、素直に感じた気持ちで全然かまいません!
ポイントは今後の更新継続のとても大きな励みになりますので、なにとぞ、ご協力をお願いします!