32.魔族と内通者を撃退
「しかしいねえなぁ魔族」
リズ達が周辺を警戒しながら森の中を歩く。
「そもそもの調査依頼主って誰なんだ?」
「国からの依頼されたものだけど……そーいや目撃者については知らねーなぁ」
一方離れたところで、「……今に見てろよ。リズベットはおれのもんだ」魔導師ザコモーノが何か呟く。
「森のザコモンスターもなんか襲ってこねーし、このまま何事もなく調査おわりそーだなぁ」
と、そのときだ。
「下がれ」
俺たちのすぐ目の前に、巨大な岩が落ちてきた。
「なっ!? て、敵か!?」
その後も連続して、巨岩が落ちてくる。
俺は拳を握りしめて、その全てを砕いて見せた。
「す、すげえ……! あんなでけえ岩を素手で!」「さすがジークさん!」
俺たちの前に、異形の怪物が現れた。
身長は2メートルほどだろうか。
額から角を生やし、4本の筋骨隆々な腕を備えている。
「ばっはっは! 下等な人間のくせに、なかなか骨のあるヤツがいるじゃあねえかぁ……!」
「誰だおまえは?」
「おれさまは【怪力鬼】! 魔界貴族がひとつ、男爵級魔族の怪力鬼さまだぁ……!」
リズ達は魔族の登場に、完全に萎縮していた。
「なんだびびってるのかぁ~? Sランクパーティが来るっていうからよぉ、楽しみにしてたのによぉ」
「おいおまえ。リズ達が来ることを、あらかじめ知っていたような口ぶりだな」
俺は彼女たちを守るように、怪力鬼の前に立ち塞がる。
「どっから情報を仕入れた?」
「さぁてねぇ~。今から死ぬてめえにゃ関係ないことだろぉ~?」
「そりゃこっちのセリフだ。先に情報を仕入れておこうと思ってな。死人に口無しだろ」
ビキッ……! と怪力鬼の額に血管が浮かび上がる。
「……調子乗るなよ、劣等種どもがぁあああ!」
怪力鬼が腕を引き、高速で拳を繰り出す。
「わが必殺の【百烈連打】! 食らって死ねることを誇りにおもえぇ!」
「な、なんだあれ腕が100本に見える!」「残像だ!」「ジークさん逃げてぇ……!」
「ばっはっはぁ! 死ね~!」
パシッ……!
「なぁっ!? なにぃいいいいい!?」
俺は両手で、怪力鬼の腕2本を受け止めた。
「ば、バカな! お、おれさまの打撃を真正面から受け止めただと!」
「自慢の拳とやらも、たいしたことないな」
「だ、だがあと2本残っている! 死ねぇ!」
俺は腕を掴んだ状態で、神の手を発動させる。
「【魔殺】」
ボッ……! と怪力鬼の両腕が消し飛んだ。
「なんだその力はぁああああ!?」
本来神の手は全てを癒す強力な技。
しかし魔なるものにたいしては、破邪の力となりて敵を殺すわざとなっている。
「あ、甘いな貴様! 魔族は人間の数段、自然治癒力が高い! 腕が消し飛んだ程度、すぐに治る……ふん! ふんっ! な、なにぃ!?」
なくなった腕を見て怪力鬼が目を丸くする。
「さ、再生しないだと!? ば、バカな!?」
「残りの腕ももらうぞ」
俺は背後に回って、腕に触れて魔殺を発動。
ボッ……! と腕が吹っ飛ぶ。
「く、くそ……! おいザコモーノ! 聞いてないぞ! こんな化け物がいるなんて!」
魔導師ザコモーノが青い顔をしていう。
「ば、バカッ……! 黙っていろ!」
「内通者はおまえか」
俺がにらみつけると、ザコモーノは鼻で笑って言う。
「ハッ! そうだよぉお! 魔族にパーティを襲わせ、壊滅状態なところでおれがリズを助ける。そうやってこの女の心をいただくつもりを! 邪魔しやがってぇえ!」
なんという、最低最悪な作戦だ。
ヘドが出る。
「こうなったら怪力鬼! 力を合わせて……」
「遅いよ」
ボッ……! と怪力鬼が存在まるごと消し飛んだ。
「なぁんだってぇえええ!?」
「す、すげえ……! ワンパンで魔族倒した!」「さっすがジークさん!」
驚くパーティメンバー達。
「魔力量を調整すれば、神の手の威力も変えられるんだよ」
俺はザコモーノに近づく。
「ひっ……! こ、このぉおおお! 【火炎連だ……」
「【麻痺】」
がくんっ、とザコモーノがその場に崩れ落ちる。
「ジーク! やるじゃあねーか! さっすがウチの未来のダーリン♡」
リズが笑顔で俺に抱きついて、頬にキスをしてくる。
「……てめえ、ザコモーノ。よくもウチらを騙してくれやがったな」
「ち、ちがう……あなたが、振り向いて、くれないのが、いけないんだぁ〜」
「うっせーばーか! てめえみたいな最低の屑、好きになるわけねーだろ!」
絶望の表情を浮かべると、がくん……とザコモーノは頭を垂れるのだった。
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