03.国王からの追放宣言
「ジーク、おぬしはクビだ」
「え……?」
王城に戻って、風呂に入った後。
俺は国王に呼び出され、王の間へとやってきた。
「あの……どうしてでしょうか?」
玉座に座る国王に、俺は戸惑いながら尋ねる。
「宰相から報告を受けた。おぬしがいるせいで莫大な額の余計な金がかかっているとな」
ニヤニヤ笑いながら、王の隣に立っている細身の男が言う。
「おっしゃるとおりです国王陛下。大量消費、大量生産のこのご時世、獣ノ医師など、もはや今の世の中には必要ないのでございます」
「うむ、そうだな。畜生ごときに医師を用意する必要もない。死んだらまた産ませればよいだけのこと」
なんともひどい言い方だった。
動物を文字通り【動く物】程度にしか思っていないようだ。
「貴様がいなくなれば、高い給金を払う必要も、不必要に要求されていた飼育管理費もコストカットできる。浮いた金でより多くの獣を飼えば医師など不要なのだ」
宰相がニヤニヤと邪悪に笑いながら言う。
「ジークよ、何か反論はあるか?」
「……じゃあ、一言だけ。本当にいいんですか? この国大変なことになりますよ」
「「は……?」」
訳わからんみたいな顔をされてしまった。
「理由は二つ。1つ、動物の体調管理は非常に繊細です。一歩間違えば疫病が流行って家畜たちが全滅、なんてことも普通にあり得ます」
家畜が死滅すればこの国の食糧事情は大変なことになるだろう。
「2つ。竜や使い魔は魔獣です。あいつらにはプロの管理者がいないと途端に暴れ出して、人を普通に傷つけます」
魔獣は魔王の支配を受けているせいもあって、人間を見境なく襲ってくる。
しかし獣ノ医師たちは、魔物を従える特別な【管理術】を習っている。
裏を返せば、獣ノ医師がいなくなると、魔物が言うことを聞かなくなるということ。
「ジーク、おまえは知らぬだろうが最近【調教具】という魔法道具が開発されたのだ」
「ちょうきょうぐ……?」
「つけるだけでたちどころに魔獣を従えることのできる不思議なアイテムだ!」
う、うさんくせえ……。
「要するに魔法で無理矢理従わせるってことですよね。そんな相手の気持ちや尊厳を踏みにじるようなアイテムを使ったら、魔獣達はもっとストレスを感じていつか暴動を起こしますよ?」
「はぁ? 畜生風情に自我があるとでも思っているのか? 愚か者め」
「ぷぷ……陛下。どうやらジークは少々妄想癖があるようですね……雇っていても国にとって不利益になるだけかと」
……ああ、ダメだこいつら。
人間様にしか心がないとでも思っているらしい。
「ジーク、貴様はクビだ。それに今まで獣ノ医師しか魔獣を管理できぬと嘘をつき続けたことも重罪である」
「いや嘘じゃないんですが……」
魔獣管理術は獣ノ医師たち相伝の秘術なんだけど……。
「だが今まで国に仕えてきた功績も加味し、国外追放で許してやる。荷物をまとめ、早々に立ち去れ」
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