26.チートヒールでエルフ軍を余裕で退ける
俺が森で女の子を助けてから、数日後。
『た、大変だ兄貴! エルフが大軍を率いてせめてきた! けが人が出てる! 助けてくれ!』
飛竜からの伝令で、地竜に乗って急いで、獣人国外れの村へとやってきた。
『村が燃えてるわ!』
獣人たちの暮らす平和の村が、炎に包まれていた。
建物は半壊し、あちこちで獣人たちが血を流して倒れている。
『むごい……ひどすぎるよぉ……』
「とにかく治療が先だ!」
負傷した獣人たちに近づこうとした、そのときだ。
魔法矢が俺に向かって撃ち込まれて来る。
矢を掴んで、砕く。
「どうした獣医ぃ~。そんなに焦ってよぉ」
「エルクァス! おまえの仕業か!」
竜殺しのエルクァスが、仲間のエルフどもとともに、炎のなかに立っている。
「おまえらぁ! 村を徹底的に燃やし尽くせぇ! 村人は皆殺しだぁ!」
俺は振り返る。
傷ついた獣人たち、炎に包まれ半壊する街並み。
「許せねえ……平和に暮らす罪のないこの人らに、どうしてここまでひどいことができる」
「畜生どもの命なんて、ゴミみたいなもんだ。それを掃除してあげてる、僕様たちにみんな感謝してほしいもんだねぇ」
エルフたちは、エルクァス同様に残忍な笑みを浮かべている。
ああ、こいつらも同じく、くそ野郎なのだな。
「……俺はてめえらを絶対に許さねえ」
俺は両手を広げて、前に突き出す。
「はっ! 畜生番ごときに何ができるぅ。獣どもを1匹ずつ治してくんですかぁ?」
「ああ。ただし、俺は全てを治癒する」
両手にまばゆい光が集まる。
「いくぞ神の手、【全体完全再生】!」
両手から強烈な光が発生する。
それは村全体を包み込む。
「なっ!? なんだこれはぁああああああ!?」
純白の光が津波のようにすべてを照らす。
そして、唐突に光が収まる。
「う、うう……あれ? 体が、なおってる!」
「村の建物も戻ってるぞ!」
「炎すら消えてる! どうなってるんだ!?」
獣人たちが目をむいて周りを見ている。
『すごいわジーク! 全部元通りよ!』
「そ、そんな馬鹿なぁあああああ!?」
エルクァスが驚愕の表情で、完全に治った獣人たちを見て叫ぶ。
「範囲再生魔法だと!? そんな高度な魔法が畜生番に使えるわけがない!」
『ジークは選ばれし特別な人間なのよ! あんたらのちんけな常識で測ってるんじゃないわよばーか!』
ちーちゃん意外と口悪いな。
「く、くそ! おまえら! もう一度攻撃だぁ! 極大魔法を放て! 矢の雨を降らせろぉ!」
エルフたちが、最大威力の魔法を放って来る。
さらに弓から放たれたの矢が雨あられと降り注ぐ。
「神の手【完全防御壁】」
村を包み込むように、光の防壁が貼られる。
矢はすべて弾かれ、炎は光の壁を通り過ぎた瞬間に消える。
物理攻撃は放った相手の元に戻り、魔法攻撃は魔力へと戻る。
すべてを元に戻す、最強の光の盾だ。
「うぎゃぁあああああ!」
弾かれた矢はエルフたちの四肢を貫き、その場に崩れ落ちる。
「なんて威力の防壁魔法だ! え、エルフのトップ魔導士たる族長すら使えないぞ!?」
『さっすがジーク! 回復も守りもできるなんて! 万能すぎるわ!』
万能なのはこの神の手だ。
使い方を応用すれば、こうして色々できる。
「や、やばいですよエルクァスさん!」「撤退するべきです! 相手は化け物だ!」
部下のエルフたちは完全に委縮している。
一方でエルクァスは顔を真っ赤にしていう。
「りゅ、竜殺しの英雄が撤退なんぞ恥ずかしい真似ができるか! こうなったら奥の手だ! 【悪魔召喚】!」
エルクァスの手から黒いモヤのようなものが発生する。
それは見上げるような巨体の、山羊頭の悪魔へとなった。
「見たか! わが最強の召喚悪魔バフォメット! その強さはSS! どうだ、Sランクの魔物をも超える化け物だぞぉ!」
だが俺は臆することなく、山羊頭の悪魔めがけて走る。
「神の手【魔殺】」
悪魔に俺の手が触れた瞬間、聖なる光が発生する。
魔なるものを即死させ、灰は灰に、塵は塵へと返す。
最強にして最恐の光。
「う、うそだろ……ば、バフォメットを……一撃で……」
どさっ、とエルクァスがその場で腰を抜かす。
「うわぁああああ!」「ば、化け物だぁああああ!」「にげろぉおおおおおおお!」
残りのエルフたちは、リーダーたるエルクァスを残して撤退していく。
「ジーク様の勝利だ!」
「ありがとう、ジーク様ぁ! ありがとぉおおお!」
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