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233/241

233.



 俺たちは妹のチノを、ジャマーの手から奪還するため、空中要塞へと急行。

 神の手による防御が通じないというハプニングはあれど、空の民たちの協力もあり、俺は要塞のなかへと到着した。


 空の民たちが、敵を攪乱してくれなきゃ、やばかった。

 みんな、ありがとう……。


『くくく! ジークぅ! よく来たなぁ!』


 ……要塞の入り口は庭園となっていた。

 そこに立つ俺たちの耳に、聞いてて不愉快になるような、甲高い声が届いた。


「ジャマー!」


 俺の大切な民、国、そして……愛する家族を奪った、元凶!

 知らず、俺は怒りで身体が震えそうになる……が。


 そっ、とちーちゃんが俺の手を握ってくれた。

 ……そうだ。熱くなってはいけない。


 俺は、医師だ。

 怒りに頭を支配されてしまっては、何も、誰も、救えなくなってしまう。


 ……落ち着け。


「ジャマー。今度こそおまえと決着をつけにきた。だが、チノを返すなら、赦してやってもいい」


 俺は別にジャマーを殺したいわけではない。

 チノを返し、そしてもう二度と、誰も傷つけないと約束するなら……


『赦してもらわずとも結構! ジークぅ……わしはおまえを、そしておまえの大切な物を壊すために、今日まで生きてきたのだぁ』


 ……そうか。

 こいつは、そんなくだらん妄執にとりつかれていたのか。


「いっとくが、生き物の命を理不尽に奪おうとするやつに、俺は手加減しないからな」

『大変結構! こちらは何を言われようと改心するつもりはない。この戦いをとめるためには、わしかジークぅ、どちらかが死ぬしかないのだ』


 ……俺は、暴力が嫌いだ。

 だが、それでも。


 ジャマーのような悪人に、本当に大事な人たちの命が奪われるのなら……。


「わかった。ジャマー。おまえを……倒す」

『ふっは! 果たしてそれができるかなぁ?』


 ぶん! と目の前に魔法陣が展開し、そこから、気持ち悪い見た目の、魔獣なのか、人間なのかわからないものがでてくる。


「あ、あれ! 魔王国を襲ってきた、改造人間たちだわ!」


 改造人間。

 なるほど……命の波動を感じる。でも、自然な営みで生まれた命ではない。


 おそらく、作られた命なのだろう。なんて悲しい存在なのか。


 ……なるほど。

 どうやらジャマーは、最後の最後まで、命をそんな風に粗末に扱うんだな。


『わしは長い時間をかけ、ついに! ジーク、貴様が持つ神の手を、完全攻略した! 貴様とて、痛感したのではないかぁ?』


 確かにここへ来る前、神の手の結界を、敵の砲撃が貫いてきた。

 どういう原理かは不明だが、俺の持つこの、奇跡の力に対して、攻略法を、ジャマーが開発したのは事実。


『そやつらにもとーぜん! 対神の手用の手段をほどこしてるぞぉ』

「そうかい……そりゃ、ご丁寧に解説どうも」


 だからといって……。

 俺は、諦めない。


「みんな……来てくれ!」


 俺が右手を掲げると、周囲に魔法陣が展開。

 そこから現れたのは、転移門ゲートだ。


『転移門……なるほど、神の手で作ったのか!』

「ああ。頼むみんな、力を貸してくれ」


 そこからあらわれたのは、俺が救ってきた、命たち。

 たくさんの魔獣たちが、庭園に集結してくる。


「いよいよ、我らの出番というわけだな」

「ジーク、ここはわたくしたちに任せて、敵をうつのです」

「いけ、若き魔王よ!」


 エルロン、ソフィア、そしてヴェイグ。

 王たち、そして民たちが、俺に力を貸してくれる。


 俺はうなずいて、ちーちゃん、ハク、シアとともに、先を急ぐ。


【★あとがき】

なろうで連載中の有名VTuberの兄、書籍版がいよいよ発売されます!


11/15にGA文庫から発売!


予約始まってます!


よろしくお願いします!


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挿絵(By みてみん)

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★1巻11/15発売★



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