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210.超勇者、超魔王、そして最終兵器



《ジャマーSide》


 ジークが竜王国スカイ・フォシワへ向かっている、一方その頃……。

 元魔王軍の幹部、ジャマーはというと……。


「ひひ! ひひひひ! さぁ、目ざめよ! わが……最強の【超魔人】どもぉ!」


 ジャマーの前には、2つのフラスコが置いてあった。

 それぞれ、2対の化け物が入ってる。


 ジャマーの合図とともに、フラスコ内の培養液が抜ける……。


「超魔人1号……超勇者!」

「うぎ……ぎ……ぎ……」


 超勇者と呼ばれし化け物は、小柄で、赤髪の人間。


「超勇者よぉ……どうだ? 気分は?」

「じ、じ、じ……」

「じ?」

「ジークぅうううう! 殺す……殺すぅううううううううううう!!!!!!」


【元】の人格が反映されているのか、ジークへの強い恨みがきちんと、この超勇者の体に乗っていた。

 にんまりと、ジャマーが笑う。


「そうかそうかぁ、ひひひ! ジークを殺したいかぁ?」

「殺す……! 殺す! 殺すぅうう!」


 ごおぉお! と超勇者の体からは、激しい魔力の奔流がほとばしる。


「ひひひ! いいぞぉ! 元の細胞と、そして……ひひひ! ジークぅ……おまえの力を、マネさせてもらったぞぉ!」


 超勇者の右腕を見ながら、ジャマーが邪悪に笑う。


「超勇者。おまえはその右腕を使い、使命を果たすのだ」

「殺すぅううううううううううう!」


 意思疎通はできてないようだが、問題ない。

 ジークを殺せれば、なにも問題ないのだ。


「さぁて……残り一体は……ひひひひ! これまたとびきりの相手を用意したぞぉ、ジークぅ……」


 二つ目のカプセルから出てきたのも、男だった。


「…………」

「おお! 目ざめたか、超魔王よぉ」


 超魔王と呼ばれた男は……。

 黒髪で、背が高く、どこか……ジークに面影が似ていた。


「ひひひひ! ジークに縁の深いものを、墓場から引っ張り出すのに苦労したぞぉ!」

「…………」

「超魔王。おまえはジークに恨みがあるわけではない。だから、記憶のほうをいじらせてもらったぞぉ」


 超魔王と呼ばれた男は静かにたたずんでいる。


「……ジーク」

「そうだぁ。ジークだよ、おまえの可愛いジークぅ。あいつを殺すために、おまえは死後の世界から復活したのだぁ」

「……ジークを、殺す?」


 超魔王の表情がこわばる。

 どうやらジーク殺害に、抵抗してるようだ。


 だが……。


「ぐ、が、がぁあああああああああああああ!」


 超魔王は頭を抱えてその場にしゃがみ込む。


「ひひひ! 言っただろう? わしの言うことに絶対服従するように、仕込まれてるとなぁ?」

「ぐがぁああああ!」

「ひひひひ! この痛みがある限り、貴様はわしの言うことを効かざるを得ないのだぁ……」


 やがて、超魔王はうめくのやめる。

 ふらりと立ち上がると……。


「ジーク……殺す……」

「そうだぁ! ひひひひひ! ジークぅ、こいつの顔を見て、さぞ驚くだろうよぉ! あやつが動揺する顔を、ひひっひ! 早く拝みたいものだなぁ!」


 ジャマーは超勇者、そして超魔王に服を着せる。


「魔神、魔人、そして……あの憎きジークの使う、神の力! それらを複合して作った、超勇者と超魔王! こいつらを使って、今よりジークを! そして……」


 にぃ、とジャマーが笑う。


「ジーク不在の中! あやつめの治める国! 魔王国に進軍する!」


 ぱちん! とジャマーが指を鳴らす。

 そのほかの培養カプセルの中に入っていた、異形の化け物達が目を覚ます。


「こいつらは実験に失敗した、魔人もどき! 烏合の衆でしかないが……まあ国を滅ぼすくらいの力はある!」


 びしっ、とジャマーは超勇者を指さす。


「超勇者! おまえはこの魔人どもを引き連れ、魔王国へ行き! 殺戮の限りを尽くしてこい!」

「殺すぅうううううううううう!」


 続いて、ジャマーは超魔王に言う。


「超魔王! おまえはジークの足止めをしてこい! 殺してもいいが、第一目標は足止めだ! いいな!」

「……御意」


 ジャマーはジークの強さを知っている。

 超魔王で殺しきれるとは、思っていない。



「ひひひひ! ジークぅう! 今からおまえの大切なものをぐっちゃぐっちゃにしてやるからなぁ! ひひひひ! 超魔王、超勇者。そしてぇ……」


 ジャマーが背後を見やる。

 ……超巨大なカプセルが、そこにはあった。


「この最終秘密兵器を使い! ジーク! 今度そこ! 貴様を屠る! これが、最後の戦いだァ……! 我らの因縁に決着をつけようぞ! ジークうぅうううううううううううううううう!」


 ジャマーが高笑いする。

 それに呼応するように、超勇者、そして超魔王がつぶやく。


「殺すぅううううううううう!」

「……ジーク。殺す」


 ……かくして、最後の戦いの火蓋が、今まさに、切って落とされたのだった。

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★1巻11/15発売★



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