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21.国王、妹魔導師から絶縁される



 一方その頃国王達はというと。


「宰相よ。チノ・ベタリナリを連れ戻すのだ」


 謁見の間に宰相を呼び出し、国王は言う。


「最近【なぜか】長雨が続く。このまま続けば備蓄の飼料がつき家畜どもが死滅する。その前に、ジークの妹を招集し、結界魔法で畜生どもを守らせよう」


「なるほど……チノほどの魔導師ならば、結界もまた使えるはず。しかしどのようにして彼女を連れ戻すおつもりで?」


「なぁに、簡単なことよ。ジークも復職させるという条件をつければ、帰ってくるに違いない」


 チノは以前ここに来たとき、兄が宮仕えしているから、自分も宮廷魔導師になろうとしたと言っていた。


「あの畜生係は不慮の事故と言うことで後々始末すれば、チノは兄の意志を継いで城に残るだろう」


 この時点において、国王はジークが魔法の天才である、ということを信じていなかった。


 もちろん、現実逃避だ。

 自分が不要と捨てた男が、実は有能だったなんてわかれば……自分が見る目のない男だと思われてしまうからだ。


「なるほど陛下! 見事な作戦……って、あぁああ!」


 宰相が青い顔をして叫ぶ。


「なんだ、うるさいぞ」

「へ、へ、陛下。ジークには暗殺者を差し向けておりますよ!」


 あっ……! と国王が思い出したかのように叫ぶ。

 そう、彼が国外追放した際に、王を恐喝したと言うことで殺そうと、暗殺者を手配していたのだ。


「い、今すぐ暗殺中止を知らせるのだ! ジークが死んでしまったらチノが来なくなる……!」


「わ、わかりました! 今すぐに中止の命令を……!」


 と、そのときだった。


「その必要はありませんよ」


 ガチャリ、と謁見の間の扉が開く。

 蒼銀の美少女チノが、氷そのものの表情で入ってくる。


「お、おお! チノくんではないかぁ!」


 宰相は表情を一転させ、ヘラヘラと媚びへつらうように笑う。


「どうしたのかね? 心変わりして、うちで働く気になったのかねぇ?」


 彼女の肩に触れようとすると、すぐ目の前に氷の大剣が出現し、上空から降ってきた。


「ふぎゃああああ!」


 すんでで当たらなかったものの、一歩間違えれば首が飛んでいた。


「国王陛下、それに宰相さん。あなたたち、兄さんに暗殺者を差し向けましたね?」


 ドキッ! と心臓が体に悪いはねかたをする。


「な、なんのことやらさっぱりだ。な、なぁ宰相よ」


「え、ええ! 全く心当たりがございません! 第一証拠はおありなのかなっ?」


 チッ! とチノが舌打ちを撃つ。


「まあいいです。あの暗殺者は兄さんが見事撃退して見せたので」


「「なっ!?」」


 驚愕に目をむくふたり。

 暗殺者は手練れを用意したはず。


 それをあの飼育係が倒したとなれば、動揺するのも無理からぬこと。


「……その反応、やはりあなた方でしたか」


 スッ、と懐から杖を取り出す。


「ま、待つのだ! これは手違いでだなぁ……!」


「そ、そうだチノくん! 喜びたまえ! 今なら君のお兄さんをこの城に復職してくださるよう、特別に便宜を図ると国王陛下がおっしゃっていたぞ! どうだい、二人一緒にこの城で……」


 チノは怒りを魔力に変えて、魔法を放つ。


 ガキンッ……! と一瞬にして、国王の城が氷漬けになったのだ。


「「うひぃいいいいいい!」」


 恐怖で尻餅をつく国王と宰相。


 フンッ、とチノは鼻を鳴らし、杖を仕舞う。


「博愛主義者の兄さんに免じて、命は取らないであげます。ですが、次また兄さんの命を狙ったら、今度はこの国を潰します」


 チノの言葉を子供の戯言とあざわらうことはできなかった。

 

 この巨大な城を一瞬で氷漬けにしてしまうほどに、チノの魔法は強力だから。


「ではもう二度と会うこともないでしょう。さようなら」


 家族ジークの命を狙ったことがバレてしまい、国王はチノから完全に嫌われてしまった。


「ま、待ってくれ!」

「いくら頼まれても宮仕えをするつもりは毛頭……」


「せめてこの城の氷を溶かしてから帰ってくれ! 寒くてかなわん!」


 呆れかえったように、チノがため息をつく。


「知りません」


 彼女は転移魔法を使って、その場からいなくなる。


「へ、陛下ぁ~……どういたしましょう。結界もそうですし、このままでは城がまともに機能しませぬ」


「し、知るものか! お、おまえがどうにかしろ! 何のために高い給料を払っていると思ってるのだ!」


「そんなぁ~……」


 愚かな彼らは知らない。

 この長い雨の正体が、神獣を傷つけたことによって招かれたものであることを。


 自分たちの愚かな行為が、さらなる不幸を招く羽目になることを。

【※読者の皆さまへ とても大切なお願い】


「面白い!」

「続きが気になる!」

「もっともっと国王たち『ざまぁ』されろ!」


と思っていただけたら下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】に変えて、作品への応援おねがいいたします!


面白かったら星5つ、

つまらなかったら星1つ、素直に感じた気持ちで全然かまいません!


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★1巻11/15発売★



https://26847.mitemin.net/i778881/
― 新着の感想 ―
[一言] 先が楽しみなので、可能なら更新は2、3日に1回は最低して欲しいですね。希望は毎日更新ですが。
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