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206/241

206.



 結婚……ううん、結婚……。

 わからん……ということで、結婚したことのある人に、ちょっと話を聞いてみることにした。


 先代魔王のもとへいく、俺。


「おお、ジーク。久しいな」

「よっす、元気?」

「おかげさまでな」


 俺がやってきたのは、魔王国の端っこにある村。

 そこに小屋があって、先代魔王は、魔族の子供たちに魔法を教えながら、のんびり暮らしてるのだ。


「どうしたジーク」

「いやあ、それがねー」


 小屋の庭に、ベンチがある。

 そこに座って、俺は最近の悩みを話す。


「ふむ……結婚か」

「うん。どうしようかなぁって」

「おまえ自身どう思ってるのだ? 二人とどうありたい?」


 ちーちゃんと、チノ。

 二人と……どうなりたいかぁ……。


「まあ今まで通りでも、別にいいかなぁって思ってる」

「ふむ……子供は欲しくないか?」

「子供……むむむ……」


 確かにそう言われるとなぁ。

 子供……いいなぁって思うことはある。


 たとえば神竜王の娘さんとか、神獣王の娘さんとか。

 かわいいなぁって思うことはある。


「その二人とのあいだに娘、もしくは息子が欲しいとはおもわぬか?」

「そうだなぁ~……考えたこともなかったな」


 宮廷獣医やってたころは、忙しくてそんな暇なかったし(てゆーかちーちゃんは地竜だったし、チノは思春期で俺を避けてたし)。


 魔王になった当初は、色んな敵がやってきて、それを追い払ったり、国内の問題をあれこれしてて忙しかったりした。


 でも……今は違う。

 ちょっと心に余裕が出てきた。


「せっかく考える時間ができたのだ。ゆったりと考えるがいい」

「急がなくていいのかな?」

「別に良いだろう。結婚するしない、いつするかどうかは、人それぞれだ」


 そうか……ううん、そうだよなぁ。


「大切なのは、結婚したいという強い意志が己の中にあるかどうか、だと思うぞ」


 それ以上、余計なことは言うつもりはないのか、先代はだまっちまった。

 でもそうだよなぁ。結局は、自分の意思ってやつが一番大切だろうし。


「ありがと、参考になったよ」

「うむ。ところで我が娘を相手にどうかな?」

「え、え、いや……今二人のうちどっちかって問題もあるし」

「何を言ってる?」


 きょとんとした顔の先代。

 え?


「今の世の中、重婚などめずらしくないだろう?」

「え、ええ!? そうなのぉ!?」


 知らなかった……!


「なぜ知らんのだ……」

「あ、いや……興味なかったし……」


 獣ノ医師の仕事以外に、まったく。

 先代は苦笑しながら言う。


「世の中的にも重婚は許されている。それに、おまえは王となるのだ。複数の女をめとるのは当然だぞ」

「まじっすか……」

「ああ、だから、誰と結婚するかというのは問題ではなく、そもそも結婚したいかどうかの問題になる」


 な、なるほど……

 

「うちの娘は少々不器用なところがあるが、気立てはいいし、かしこい。どうかな?」

「あ、え、ええっとお……」

「冗談だ。好きに悩むがいいさ、若き魔王よ」

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★1巻11/15発売★



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