201.ジャマー、次なる計画へ
魔王ジークが、深淵に潜む泥の王を撃破した、一方その頃。
「信じられん……まさか、泥の王すらやられるとは……くそ!」
元魔王軍指揮官ジャマーは、大穴の最奥部にいた。
「またひとつ、計画を潰された……おのれ、魔王! どこまでわしの邪魔をすれば気が済むのだ……!」
泥の王をそそのかし、地上の制圧を企んでいたのだ。
しかしそれをジークがふらっと現れて、計画の要となる泥の王を瞬殺した。
「なんと恐ろしい力……いや、右手か。なんだ、なんなのだ、あの規格外の魔手は。どういう原理なのだ……?」
あらゆる悪を滅し、穢れを祓うその手は、まさしく神の手にふさわしいもの。
「神に挑むことは愚かなことなのか……否、断じて否である!」
ジャマーの目に、闘志が宿る。
それは仇敵である魔王への、明確なる敵意と殺意だ。
「泥の王から採取したデータと細胞。此を使い、新たなる実験体を作るのだ……!」
奈落の底で、ジャマーは高らかに嗤う。
「待っていろジーク……! 次はわし自らが、最強の軍団を作り、貴様を必ずや討ち滅ぼしてくれる……!」
と、そのときだった。
カッ……! と上空から、聖なる光が降り注ぐ。
それはジークが、地上から大穴の浄化のために、神魔の右手を使った証だった。
「うぎゃぁああああああああああ!」
ジュッ……! とジャマーの肌が焼ける。
「くそぉおおおお! 覚えてろジークうぅうううううううううううう!」
まばゆい光に包まれながら、ジャマーの叫び声は、いつまでも響いていたのだった。