195.ハイパー浄化
ドワーフたちをいったん地上へと返し、俺たちは探索を続ける。
エナの親父を食った沼の怪人を見つけるのが目的だ。
「ジーク、これからどーするの?」
「奥の方に瘴気の沼が続いている。上流へいってみよう」
浄化して水になった川を、俺たちは登っていく。
「瘴気が濃くなっていってるわね」
「兄さんがいなかったら今頃即死でしょう。やはり兄さんはすごいです」
沼の川の上流へと向かっていくと、やがて開けた場所に到着した。
「うぷ……ひどいわねこりゃ」
「一面の沼地ですね」
毒々しい色合いの沼が、見渡す限り広がっている。
空気も完全に瘴気に毒されており、神魔の右手のバリアがなければまともに生きていけないだろう。
「…………」
「大丈夫だって、エナ。俺がなんとかするって」
「はい、なのです……」
「で、どうする?」
「とりあえず、浄化してみるか」
沼の怪人がどこにいるのか不明だが、沼が浄化されれば、何かアクションをとってくるかもしれない。
「で、でも……いくらジークさんでも、この広大な沼地を浄化なんて……さすがに……」
ちーちゃんとチノはふるふると首を振る。
「甘いわね」「兄さんやっちゃってください」
「【ヒール】」
ずぉ……! と沼地が一瞬で綺麗な湖へと変貌した。
「どしぇー!」
ぺたん……とエナがその場にしゃがみ込む。
「き、規格外すぎるのです……」
「ま、ジークならこれくらいね」「兄さんならこれくらいできて当然です」
俺は沼……いや、湖から手を引く。
「さて、みんな下がってろ」
湖面が盛り上がって、湖の底から、何かが出てくる。
「俺が相手だ」