192.ジャマー、再度動き出す
魔王ジークが、仲間とともに大穴の探索をおこなっている、一方その頃。
地岩竜が橋を架けた穴の、さらに深淵にて。
……そこは、瘴気の沼がどこまでも広がる場所だった。
泥はコポコポと泡を立て、はじけると、高濃度の瘴気を発生させる。
そんな沼の奥地に、城のような場所があった。
そこは明らかに、作られし造形の建物。
建物の奥深くにいるのは……元魔王軍指揮官ジャマーだった。
「なにぃ? ジークが大穴にきた、だとぉ~?」
彼の頭上に飛んでいる、目玉型の魔物から、部下の報告が聞こえる。
「く……くく……! くはは! 飛んで火に入る夏の虫とはこのことよ! 今こそわが最強の【超魔人】たちを、実戦投入する日がきたのだ!」
培養カプセルに入っているのは、地上で作っていた魔人を、超越した最強の人造生命体たちだ。
「この瘴気の化け物である黒獣たちからヒントを得て、完成形に至ったこの超魔人たちの恐ろしさ……とくと教えてやろうぞ……くくく!」
と、そのときだった。
『イオ アーマジ』
どこからか、謎の声が響いてきたのだ。
「おお! これはこれは超越者さま。どうかしましたのですかぁ~?」
『イノトス ウリ アルスタヤ アデラド』
脳内に響くその発音から、言語を解することは不可能。
だがジャマーの脳内には、その意味がきちんと伝わってきた。
「外のバカどもは、地上からきた魔王とその一派でございます!」
『ウオアム アコニオユスト?』
「ええ、憎たらしいことに、たいそう強いです」
『アヘロス アディミソナト』
ぐらぐら、と瘴気の沼が震える。
「楽しみだ……まさか、超越者さま自らが出向くというのですか?」
『イナン アデルマワト エダミフ イナガタキス』
そう言って、超越者の気配は消える。
「戯れ……か。くく……ジークぅ。超魔人の出番は、ないかもしれないぞぉ~?」
ひひっ、とジャマーは笑う。
「貴様は知るだろう、この瘴気の世界において、貴様よりも強者が存在することを。貴様が、井の中の蛙であったことを……! きひっ、きひひひひっ! ひゃーっはっはっはっはぁ~!」
……だがジャマーは知らなかった。
守るべき物が居るときの魔王は、この世界の誰よりも強いと言うことを。
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■タイトル
陰キャな僕を大嫌いなはずの幼なじみと結婚した結果~実は僕のこと大大大好きだったことが判明。外でクールな高嶺の花だけど、僕にだけデレデレ。女子達が気になって声をかけてくるけどごめん、もう結婚してるんだ
■URL
https://ncode.syosetu.com/n2049gt/
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