190.チート兄妹
大穴へとたどり着いた俺たちは、さっそく中を探索することにした。
「ジーク、これからどうするの?」
「まずは、行方不明になっている、エナの親父と探索部隊の救助が最優先だな」
大穴があいた原因なんてあとで調べればいい。
それより今は人命を優先させる。
「で、でも……探すといっても、どうするのです?」
「そうだな。まずはここの地図を作るか」
「ち、地図って……む、無茶なのです。何の情報もないし、入ったのは初めてなのですよね?」
「ああ、けど問題ないよ」
俺は右手を大穴の床に触れて、魔力を流す。
「よし。探知完了。地図を投影する」
俺は神魔の右手を発動させ、空中に光の地図を映し出す。
「ほえ、えぇええええええええ!? なんですこれぇええ!?」
「なにって、大穴内部の地図だけど?」
「ど、どうやって作ったのです、こんな精巧な地図!?」
するとチノが胸を張って答える。
「兄さんは獣ノ医師です。獣の体内に魔力を通し、エコーのようにして内部構造を探ることを得意としているのです。さすが兄さん」
「忘れそうになるけど、ジークって獣ノ医師だったわね」
魔王になっても、結局俺の本質は変わらない。
命を救うのが俺の仕事だ。
「あ、あの……この光点はなんなのです?」
「ドワーフの魔力をここから感知した。たぶんエナの親父達だと思う」
「も、もう見つけたのです!? す、すごすぎる……」
「今のでわかったが、エナの親父は生きてるよ。皆無事だ。よかったな」
俺は笑って、エナの頭をなでる。
「う、ううぅ~……うわーん!」
ぐすぐす、とエナがうれし涙を流す。
うん、よかったよかった。
「よしチノ、エナの親父がいる場所までの、最短のルートを検索してくれ」
「了解です、兄さん」
チノは空中に浮かぶ地図を見て、しばし黙考する。
「こんな複雑そうな通路の最短ルートなんて、わかるの?」
「は虫類と違って、私には考える頭があるのですよ。兄さん、ルートがわかりました」
チノは別の光の魔法を使って、ここから親父達の居るルートを引いてくれた。
「よし、じゃあ行くか」
俺たちは奥へと進む。
「ジークさん達って……もしかしなくても、とんでもない人たちなのです?」
「もしかしなくても、あの二人は化け物よ」
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■タイトル
陰キャな僕を大嫌いなはずの幼なじみと結婚した結果~実は僕のこと大大大好きだったことが判明。外でクールな高嶺の花だけど、僕にだけデレデレ。女子達が気になって声をかけてくるけどごめん、もう結婚してるんだ
■URL
https://ncode.syosetu.com/n2049gt/
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