188.当たり前?
俺たちはエナを連れて、鉱山の中を進む。
「大穴が出現した場所まで、まずはいくか」
「は、はいなのです。こっちなのです……!」
エナの父は刀鍛冶であり、よくここへ素材を取りに来るらしい。
娘である彼女もまた、ここをよく訪れていたそうだ。
ドワーフたちが使う坑道を俺たちは歩く。
背の低い彼らの作った道のせいか、少し狭く感じる。
「瘴気がすこしずつ濃くなってきたな」
地面付近に黒い靄がただよっている。
これは瘴気、吸い込むと体に害をなす成分が含まれている。
「あう……くるし……くない。あれ? なんで?」
「俺の体……というか右手からは、常に聖なる結界が発生してるからさ。安全だよ」
「え、え? それって……す、すごすぎません?」
額に汗をかきながら、エナが俺達に聞く。
「すごいかこれ?」「いつものことじゃない?」「兄さんにとっては日常です。さすが兄さんです」
エナはふるふると首を振る。
「い、いや普通じゃないのです……!」
「そうかな。ま、探索に支障ないし、いこうぜ」
「は、はいぃー……」
先頭に俺がたち、エナの案内の奥へと進んでいく。
「ぎきー!」
「王蝙蝠なのです! あ、あぶなーい!」
眼を赤くした、一つ目の巨大な蝙蝠が、俺に向かって飛んでくる。
俺は飛んできた蝙蝠に触れる。
「ぎー? きき~♡」
「あ、あの凶暴な王蝙蝠が!? 一発で手懐けられてるー!?」
どうやら瘴気にあてられ、魔物も暴走していたらしい。
「ど、どうなってるのです!?」
「え、俺の手で触れて呪いを解いただけだぞ?」
「呪い!? え、その右手そんなこともできるのです!? す、すごすぎなのです!?」
だが俺も、そしてちーちゃんも首をかしげる。
「普通だよな?」「ごくありふれた光景ね」「さす兄」
「いや、おかしいのです! おかしいのですー!」
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■タイトル
陰キャな僕を大嫌いなはずの幼なじみと結婚した結果~実は僕のこと大大大好きだったことが判明。外でクールな高嶺の花だけど、僕にだけデレデレ。女子達が気になって声をかけてくるけどごめん、もう結婚してるんだ
■URL
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