187.エナも一緒に
大穴のある鉱山の入り口にて。
ドワーフ娘エナが、俺たちに同行を申し出てきた。
「一緒にってあぶないわよ。あんたみたいなちんちくりんじゃ、ケガしちゃうかも」
ちーちゃんが心配げに言う。
「だ、だいじょうぶなのですっ。えな、体がんじょうなのです!」
むんっ、とエナが力こぶを作る。
ちーちゃんは無言でその力こぶを、手でふにっとつまむ。
「やめときなさい。大人しくジークの帰りを待ってたほうがいいわ」
「でも……でも……えな……お父さん……探しに行きたいのです……」
エナが俺を見て、小さくつぶやく。
「ジークさん、おねがい、つれてってほしいのです。足手まといにはならないように頑張るのです。だから……」
「エナちゃん……」
ちーちゃんが困ったような顔で、俺を見やる。
「兄さん、どうしますか?」
「そうだな……うーん……」
気持ちはわかる。
帰ってこない父親を、自分の目と足で、探しに行きたいのだろう。
「エナ。約束できるか。俺の側を、絶対にはなれないって」
「は、はい……! じゃ、じゃあ!」
「ああ。俺が道中守るよ」
「ジークさん……! ありがとなのですー!」
わぁん、とエナが俺の腰に抱きついて涙を流す。
「さすがです兄さん。弱い物を守るのは強いものの責務と。立派です」
「いいの、ジーク?」
「ああ。エナだけじゃない、皆俺が守るからさ」
「うぐ……かっこいいこというじゃない……わかったわ。アタシもなるだけ守ってあげる。危ないことすんじゃないわよちみっこ」
かくして、俺たち4人は、大穴の内部へと侵入したのだった。
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■タイトル
陰キャな僕を大嫌いなはずの幼なじみと結婚した結果~実は僕のこと大大大好きだったことが判明。外でクールな高嶺の花だけど、僕にだけデレデレ。女子達が気になって声をかけてくるけどごめん、もう結婚してるんだ
■URL
https://ncode.syosetu.com/n2049gt/
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