181.大穴の調査へ
俺たちはドワーフの街へ足を踏み入れた。
なかなか人の出入りは多い。
商人や冒険者などが、往来を歩いている。
ドワーフの作る魔道具や武器は非常に質がよく、買い求めるものが多いのだそうだ。
エナの家まで案内してもらう。
「なかなか立派なお家じゃないの」
「おとーさんはゆーめーな鍛冶師だったから、です……」
暗い顔でつぶやくエナ。
俺は彼女の頭をなでる。
「すまん」
「いえ、もう終わったことなのです。きにしてないのです……なぐさめてくれて、ありがと……ぐすん……」
俺たちは家の中に入る。
鍛冶屋である彼女の家には、数多くの武器が飾ってあった。
ケースに入っているそのどれもが、見事なものであることがわかる。
「お茶入れてくるのです」
「それには及びません」
チノが杖を振る。
俺たちの手に、暖かいコーヒーの入ったマグカップが出現する。
「ど、どうなってるのですこれ!?」
「ただの空間魔法です。収納していたものを取り出したんですよ」
「はわわ……すごいのです……」
ずず……と俺たちはコーヒーを啜る。
「それで……馬車に乗っていたときに聞いた話なんだが。エナの親父さんは、大穴にいったきり戻ってこないんだな?」
「はいなのです。大穴があるのは、みんながよく使う鉱山のなかなのです。仲間が地盤沈下に飲み込まれてしまって……おとーさんは助けに行ったのです。でも……」
「帰ってこなかったわけね」
中に何が居るのか、中の構造もわからない以上、何が原因で帰って来れないのかは不明だ。
「おとーさん……」
寂しそうに涙を流す彼女を見ていると、どうにも放っておけなかった。
「エナ。よければ、大穴のある鉱山まで案内してもらえないかな?」
「え……? どうして、なのです?」
「俺がみんなを、助け出してくる」
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■タイトル
陰キャな僕を大嫌いなはずの幼なじみと結婚した結果~実は僕のこと大大大好きだったことが判明。外でクールな高嶺の花だけど、僕にだけデレデレ。女子達が気になって声をかけてくるけどごめん、もう結婚してるんだ
■URL
https://ncode.syosetu.com/n2049gt/
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