180.ドワーフの少女
森の中で助けたドワーフ少女とともに、俺たちは馬車に乗っていた。
「たすけてくださり、ありがとーなのです」
赤茶色の髪の毛をツインテールにした少女は、ぺこりと頭を下げる。
「【エナ】ともーしますです」
「俺はジーク。こっちはちーちゃんとチノ」
エナは俺たちに深々と頭を下げる。
「あぶないところ、助けてくださりありがとーなのです!」
「いいってことだ。けど君みたいな小さな女の子が、なんであんなところに?」
「はう……えなちっちゃくないんです……こーみえて二十歳なのです」
愕然とする俺たち。
「信じられないわ……どーみても幼女じゃない!」
「人類の神秘を感じますね」
ふたりがエナの隣に座り、じろじろと間近で見る。
うーむ、確かにどう見ても20歳には見えんな。
「はう~……はずかしー……」
かぁ……! と顔を赤らめて、エナがもじもじし出す。
「むっ! 恋のライバルの予感を感じるわ!」
「完全に同意です。全く兄さんはすぐ女性を虜にするんですから」
やれやれ、とチノが首を振る。
「なにかしたか?」
「別に。ところでエナさん、あんなところで何を?」
確かにこんな雪が降る中、魔物が出るという森の中で一人でうろついているのはおかしい。
「素材を集めていたのです」
「エナは冒険者なのか?」
「ちがうのです、刀鍛冶なのです」
なるほど、ドワーフは手先が器用な者が多いと聞く。
刀の素材を集めていた訳か。
「ちっこいのに刀鍛冶のお店なんて経営してるのね?」
「ほんとーはおとーさんのお店だったのです。でも……ぐすん……」
エナは急に涙を流し出した。
「すまん、何か辛いこと思い出させたみたいだな」
俺はハンカチを彼女に渡す。
「すみません、いきなり……」
泣いてる人を見ていると、どうにも放っておけなくなる。
俺は彼女に言う。
「なにか困っていることがあれば、力貸すぞ?」
「ありがとなのです……でも……おとーさんはもう……」
「親父さんがどうしたんだ?」
「先日、地盤沈下の原因を調査しにいったっきり……行方知れずになってしまったのです」
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先日投稿した短編が好評だったので、新連載としてスタートしてます!
■タイトル
陰キャな僕を大嫌いなはずの幼なじみと結婚した結果~実は僕のこと大大大好きだったことが判明。外でクールな高嶺の花だけど、僕にだけデレデレ。女子達が気になって声をかけてくるけどごめん、もう結婚してるんだ
■URL
https://ncode.syosetu.com/n2049gt/
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