179.またやっちゃいました?
ドワーフの国へ向かう途中。
馬車に乗っていると、森から悲鳴が聞こえてきた。
「ちーちゃん!」
「おっけー! うー……はぁ……!」
ちーちゃんは人間の姿から、地竜の姿へと変わる。
種族的には地岩竜な彼女だけど、魔力の制御を覚えてから、こうして以前の姿に戻れるようになったのだ。
「チノ、先に行く」
「ええ、お気をつけて兄さん」
ちーちゃんは雪の上だというのに、まるで地面の上と変わらないスピードで走る。
「すごいぞちーちゃん」
『えへへ~♡ でっしょ~♡ もっとほーめてっ♡』
ちーちゃんの下顎をなでてやると、爆速で走る。
ややあって。
俺たちは森の中で、モンスターに襲われている女の子の元へたどり着いた。
「グロァアアアア!」
「きゃー! ……って、あれ?」
倒れ伏す女の子の前に、俺は立ち塞がる。
「グロォッ!?」
俺の前にいるのは、白熊猫。
大型のBランクモンスターだ。
「ケガないか?」
「は、はひ……あの、あなたは平気なんですか? その……腕が……」
彼女を庇った際に、俺は左腕を白熊猫に食われた。
「ん? ああ、大丈夫ほら」
にゅっ、と腕が生えてきた。
「え、え、えぇえええええええ!?」
防御するとこのモンスターまでケガさせちまうからな。
こうするほかなかった。
「お前も正気を失ってるくちか?」
「ぐ、るおぉおおおお!」
「待ってな」
俺は神魔の右手を発動させる。
強烈な聖なる光が白熊猫を包み込む。
ほどなくして、光が収まる。
「いったいなにが……って、ええ!? な、なんで!? 雪がないぃ!?」
状態を元に戻す力を使った余波で、降り積もっていた大雪が綺麗さっぱりなくなった。
それどころか、空を覆っていた分厚い雪雲も消えていた。
「大丈夫か、おまえら?」
こくこく、と白熊猫と少女がうなずく。
「あ、あの……たすけてくれて、どーもありがとうなのです……」
「良いって事だ。って……君、もしかして……ドワーフか?」
【※お知らせ】
先日投稿した短編が好評だったので、新連載としてスタートしてます!
■タイトル
陰キャな僕を大嫌いなはずの幼なじみと結婚した結果~実は僕のこと大大大好きだったことが判明。外でクールな高嶺の花だけど、僕にだけデレデレ。女子達が気になって声をかけてくるけどごめん、もう結婚してるんだ
■URL
https://ncode.syosetu.com/n2049gt/
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