17.クールなはずの妹が突然デレた
※妹の名前変更しました
ミンツ→チノ
ある日のこと。
俺が竜舎にて、飛竜たちの世話をしていると、ミントが慌てた様子で入ってきた。
「じ、ジーク様大変でございます! 国境の町に【魔女】が現れ、ジーク様を出せと!」
よくわからないが、俺はミントとともに飛竜に乗って、国境の町サツクへと向かう。
「魔女ってなんだ?」
「伝令によると蒼銀の髪にとても強力な氷魔法を使っていた、とのことです」
「あー……もしかして【チノ】かもしれん」
「チノ?」
「俺の妹だ。しかし何の用事だろうか……?」
飛竜がすごい速さで国境へと向かう。
「チノ様はどのような御方なのですか?」
「そうだなぁ、すごいクールで、俺に対してすごい辛辣に当たって来るんだ」
「兄妹仲がよろしくないのです?」
「ああ。昔はいつも俺にべったりの可愛い子だったんだが、いつの間にか冷たくなってさ」
そんなふうにミントと会話しながら、サツクの町へ急行したのだが……。
「も、森が凍っております!?」
獣人国の入り口に広がる大森林が、はるか遠くまで氷漬けになっていた。
国境には小柄な女の子が、不機嫌そうに顔をしかめている。
彼女を中心として冷気が発生していた。
「チノ! おまえなにやってるんだよ」
「兄さんっ!」
俺は飛竜から降りて、妹の元へ向かう。
「兄さん! 兄さんっ!」
ててて、とチノが俺に駆け寄ってきて、腰に抱き着いてきた。
って、ええ!?
「無事でよかったです……!」
ぐすぐす、と妹が泣いている。
ど、どういうことだろう?
いつも冷静沈着なクールな彼女が、顔をくしゃくしゃにして、わんわんと子供のように泣いている。
「兄さんがぁ……国外追放されて……獣人の国に拉致されたって聞いたから、居ても立っても居られなくってぇ~」
どうやら心配させてしまったようだ。
「拉致じゃないって、スカウトされたんだ。ここで獣ノ医師やってるんだよ」
「……ほんと?」
「おうよ」
「……冷たく当たりすぎた私に愛想をつかして、家を出たんじゃないのですか?」
「なんだそりゃ。そんなことするわけないだろ。おまえは俺のたったひとりの妹なんだからさ」
よしよし、と俺はチノの頭をなでる。
彼女は目に涙を浮かべて、すりすりとほおずりしてきた。
「……兄さんごめんなさい。冷たく当たったのは、照れ隠しなんです。本当は兄さんのこと大好きなんです」
「お、おう……そうだったのか」
照れ隠しで氷魔法ぶっ放されたこともあるんですが……。
「兄さんが拉致されて死んでしまったと思った時、私は気づきました。自分の心に素直にならないと、一生誤解されたままで永遠に別れてしまうと」
うるんだ目でチノが言う。
「兄さん……今までひどいこと言ってごめんなさい。昔も今も、誰よりも深く愛してます」
なんだ照れ隠しだったのか。
可愛いところもあるじゃないか。
「俺もおまえのこと昔っから好きだよ」
「ほ、ほんとうですかっ。やったっ。相思相愛ですねっ」
ものすっごい笑顔のチノに、俺は戸惑う。
こんな笑う子だったっけ……?
「ともあれ、兄さんが無事で本当によかったです。さぁ帰りましょう」
「あ、いや俺今ここで働いてるんだ」
「なるほど、では私も今日からここで、兄さんのために働かせていただきます」
……はい?
【※読者の皆さまへ とても大切なお願い】
「面白い!」
「続きが気になる!」
「もっとたくさん国王たち『ざまぁ』されろ!」
と思っていただけたら下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】に変えて、作品への応援おねがいいたします!
面白かったら星5つ、
つまらなかったら星1つ、素直に感じた気持ちで全然かまいません!
ポイントは今後の更新継続のとても大きな励みになりますので、なにとぞ、ご協力をお願いします!