表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

169/241

169.魔王様の圧倒的鈍感力



 俺は土産物を持って、商人のラルクの元へ行く。


 応接間にはチノとラルクがいて、ふたりが楽しげに話している。


「服装にもう少し気を遣ってみるのはどうでしょうか。チノさんはお美しいのですから、きっと綺麗なお洋服がよく似合います」


「しかし……どんな服を着ればいいのかわかりません」


「お任せください。チノさんにぴったりのものをご用意させていただきます」


「ほんとですかっ。頼りになりますっ」


 驚いた。

 人見知りのチノが、ラルクと打ち解けているなんて。


 思えばチノは、魔法の研究にカマケテ普通の友達と遊んでいる姿を、ほとんど見たことなかったな。


 ……いや、待てよ。

 友達じゃない……のか?


 つまりチノのやつ……ははん、なるほど。

「に、兄さん……! い、いつからそこに?」

「今来たところだよ。すまんな、待たせて」


「いえ、チノさんがお相手してくださって、とても楽しい時間でしたよ」


 ラルクもにこやかに笑って言う。

 これは……やはりそういうことか。


 チノは、なぜか知らないが頬が赤い。

 一方でラルクは微笑んでいる。


 ここから導かれる事実は一つだ。

 つまり……チノはラルクに惚れている。


 ラルクもまた、チノを憎からず思っているということ。


 ラルクのやつめ、嫁が居るといったばかりなのに。

 ……いやまて。


 別に重婚は罪じゃない。

 獣人ではハーレムといって、単一のオスに、複数のメスがいることだっておかしくはない。


 ラルクはまあ獣人じゃないけれど。

 しかし……別に嫁の他にチノがいてもいいわけだ。


「ラルク」

「はい」


「妹を頼むな」

「はい?」


 続いて俺はチノを見て言う。


「チノ」

「なんですか兄さん?」


「ラルクは良いやつだぞ」

「? ええ、存じてますけど」


 俺はこの二人の恋を応援しようと、そう思ったのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

★1巻11/15発売★



https://26847.mitemin.net/i778881/
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ