164話 妹と地竜がラブコメしてる
ちーちゃん、ハクたちと釣りをしていると、妹のチノが転移してやってきた。
「兄さん、お昼もってきましたよ」
「おお、チノ、サンキュー」
蒼銀の短い髪が美しい、小柄な美少女だ。
ニコニコしながら、俺とちーちゃんの間に、よいしょと腰を下ろす。
「今日はバーガーを作ってきました。釣りしながら食べれるようにと」
「おお、気が利くな」
「「ばーがー!」」
「ちょっとまったー!」
人化しているちーちゃんが、柳眉をきゅっと逆立てていう。
「なぁんであんたが、アタシとジークの間に座ってるわけ?」
「? 何か問題でもありますか?」
「あるわあるある! 大問題! アタシがジークと恋人の時間を過ごしているところに、水を差すんじゃないわよ!」
え? 俺とちーちゃんって恋人同士だっけ?
俺たちの背後で、ハクたちがバーガーをむしゃむしゃ食っている。
「お言葉ですが、兄さんはまだ未婚で、私以外の恋人はいない、と記憶しているのですが?」
え? 俺とチノって恋人同士? いやいや違うけど。
「邪魔すんなチビ」
「……は虫類」
「はぁ!? は虫類じゃありませんけどぉ!?」
「私だってチビではありません。平均やや低いくらいです」
「それをチビっていうのよ。ジークはあんたみたいなガリガリおちびより、アタシみたいなバインバインのほーがいいに決まってるわ! ね? ジーク?」
ちーちゃんが俺の腕を取って、自分の胸に押しつける。
人化しているちーちゃんは、服の上からでもわかるくらい、胸が大きかった。
「胸のサイズで女の価値が決まると思ってるのですか? やれやれ、頭の中までは虫類とは。兄さんを陰日向に支えられるのは、この私だけです。ね、兄さん?」
ニコニコと微笑んではいるが、腹の中でもの凄く怒っているのが伝わってくる。
「ケンカするなってふたりとも」
俺は釣りの片手間に、バーガーを食いながら言う。
「おにーちゃん、しゅらばってるよ! ちゅーさいしないとっ」
「……わくわく」
幼女達が期待のまなざしを向けてくるが、俺は気にしない。
「じゃれてるだけだろ。ほっときゃいいんだ」
「「良くないッ!」」
ちーちゃんが釣り竿を、チノがバーガーを奪い取る。
「なにすんだよ」
「兄さん、ハッキリさせましょう。誰が、一番なのですか?」
「アタシよね? 追放されてから今日までずぅっと支えてきた、アタシよね? ね?」
正直一番とか言われてもな……。
「俺に取っちゃみんな大事だよ。国民全員な」
「「そういう答えが聞きたいんじゃなくて!」」
「ええー……どういうことなの?」
困惑する俺に、ハクとシアが、ふぅとため息をついて言う。
「おにいちゃんは、わかってないなぁ~」
「……にぶにぶ」
ううーん……よくわからん。