161.ジャマー、復讐を誓う
魔王ジークが、新生魔王軍を撃破した。
その日の夜、跡形もなく消し飛ばされた無人島を見つめる姿があった。
「ジーク……ジークぅうううう!」
そこにいたのは、指揮官ジャマーだ。
彼は島から脱出していたので、助かったのだ。
「おのれジークめ……よくも、わしの研究所をつぶしてくれたなぁああああああああ!」
憤怒と憎悪に満ちた表情を、魔王国に向ける。
「やつめ、やつめやつめ! わしの作ったものをこけにしよって! 覚えてろよ!」
ジャマーの背後には培養カプセルが、浮遊魔法をつかって浮かんでいた。
彼はそうそうに、ルゥザーではジークに勝てないと悟り、脱出するための手立てを用意していたのである。
「今はせいぜい、勝ち誇るがよい。しかし! 次はそうはいかんぞ! わしと、わしが作った最凶の魔人……【超魔人】の恐ろしさ! 存分に味あわせてやる!」
ジャマーは冷静ではなかったが、しかしバカではなかった。
ジークの圧倒的な力を前に、今は勝てぬと戦略的撤退を選べるほどには。
「わしは負けていない。最後に笑うのは、このわしだ!」
そう言って、ジャマーはカプセルとともに、海へと沈んでいく。
魔王への恨みは、依然消えぬまま。