160.王の帰還
俺は魔王子ルゥザーを完全に撃破した。
新生魔王軍のいる、無人島へと戻る。
「終わった……」「おれたち、皆殺しにされるんだ……」
魔族たちが膝をつき悲しみに暮れている。
すでに戦意を失っているようだ。
「泣く必要はない」
「「「え?」」」
「すでに戦いの決着はついた。俺はこれで帰る」
「わ、われらを……見逃してくれるのですか?」
「ああ。もう悪さしないと約束するのならな」
魔族たちは顔を見合わせて、その場で膝をつき、頭を下げる。
「「「われら魔族一同、魔王様に絶対の忠誠を誓います!」」」
「おう、そうか……って、え?」
な、なんか知らんが……魔族が仲間になりたそうに、こちらを見ているってこと……?
「駄目でしょうか、魔王様?」
「いや……駄目じゃないが。……まあいいか」
おお! と魔族から歓声が上がる。
「なんと慈悲深いお方だ!」「われらをお許しになるだけでなく、配下に加えてくれるなんて!」「一生魔王様についてまいります!」
もとは前魔王を裏切ったやつらなんだが……まあ、もう抵抗しないだろう。
これだけの戦力差を見せつければな。
「じゃ、帰るか」
俺は魔族たちを連れて、空を飛び、無人島を後にする。
「っと、そうだ。たしか研究施設があるんだったな」
神魔の右手を発動させ、空中で拳を振るう。
激しい光の一撃は、新生魔王軍の島を包み込み……跡形なく消し飛ばした。
「よし、帰るか……って、どうした、おまえら?」
魔族たちは心の底からの安堵の表情を浮かべる。
「おれ、魔王様についてよかった!」「絶対に敵に回しちゃいけないひとだって理解した!」「魔王様さすがです!」
よくわからんが、俺は転移し、魔王国へと帰ってきた。
「「「おかえりなさい、魔王様ー!」」」
出迎えてくれた国民たちに、俺は言う。
「ただいま」