154.攻城戦
俺は魔王子ルゥザーのいる、無人島へと訪れていた。
灼炎竜たちに場所を特定してもらい、ここまで来たのである。
城を守っていた結界は、神魔の右手を使って消し飛ばした。
上陸した俺は、手で砂浜に触れる。
魔力を軽く流し、波となって帰ってきた信号を読み取る。
「行くか」
体内の異物を探る、獣ノ医師のスキルの応用だ。
魔力の波を放ち、帰ってきた情報から、居場所を特定する。
魔王子のもとへと、俺は最短ルートで向かう。
『む、無駄だ無駄無駄! おれの居場所は特定できん! なぜなら空間をねじまげ、方向感覚を狂わせているからな!』
だが俺は目的地へ向かって真っ直ぐ、歩く。
『なぜだぁ!? なぜ惑わない!?』
「その程度で俺の歩みを止められると思ったか?」
『くっ! 次だ! 貴様を無数のトラップが阻むだろう!』
落石、落下、スイッチからの炎、雷。
俺が歩くたびに、無数の罠が発動し、俺に攻撃してくる。
だが神魔の右手をつかった、聖なるバリアは、その罠をことごとく無効化する。
『くそ! なんだその右手は! 反則だ! 切り落とせ!』
「戦いに反則もくそもあるか。そもそも、虚を突いて奇襲をかけまくってきたのはてめえのほうだろうが」
魔人達の襲撃をたくらんだのはこいつだ。
「やったら、やり返される。そんな単純な原理さえ、おまえは理解していないのか?」
『……おのれ、人間風情が。上位存在たるおれに講釈を垂れるだとぉ! 痴れ者がぁ!』
ずずんっ、と大きな音を立てて、巨大なゴーレムが出現する。
『それは魔人技術を応用して作った最強の番人! そのボディは神意鉄でできている! いくら貴様とてこの固い金属のボディを壊すことはできまい!』
俺はピタッ、とゴーレムの体に触れる。
ずる……と体が崩れ、塵となって消える。
『なにぃいいいいいいいいいいいい!?』
「そんな玩具で、俺を止められると思ったか?」
神魔の右手は、たとえ神意鉄だろうと触れれば無に、塵に返すことができるのだ。
「覚悟しろよ、魔王子。俺はそう簡単に、止まってやるつもりはないぞ」
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