152.魔王子、動く
魔王ジークが決意を固めた、一方その頃。
海に浮かぶ無人島の、新生魔王軍本拠地にて。
「ルゥザー様! 大変です! 上空に灼炎竜の大群が!」
部下が転がり込んでくる。
「落ち着け。恐らくは、ジークが放った偵察部隊だろう。すぐに攻めてこぬさ」
魔王子ルゥザーは余裕の態度を崩さない。
「ここを突き止めるか魔王め。まあいい。こちらも相応の準備をしている。いつでもかかってくるがよい」
パチンッ、と指を鳴らす。
ルゥザーの前に、映像の魔道具によって、外の様子が映し出される。
「島の周りには多重結界が施されている。1つ打ち破ってもまた別の結界が、全く別の術式で打ち込まれている。一分以内に定められた手順で解かねば即死する術式だ。しかも力業で打ち破るのは不可能、仮に破っても異界に飛ばされる仕組みとなっている」
「おお! なんと素晴らしい結界! これなら魔王も攻めてはこれぬでしょうなぁ!」
にやり、とルゥザーは笑う。
「わが城は絶対不可侵の城。攻めてこれるならやってみるがよい魔王。そのとき、貴様の命があるかは保証できぬがな……くくく……ふははははあ!」
そのときだった。
ドガンッ……! と激しい音を立てて、島全体が揺らいだ。
「なっ、何事だぁ!?」
外を見張りさせていた部下から、通信用の魔道具を通して連絡が入る。
『た、大変です! 結界が! ぶち破られました!』
「なんだとぉお!」
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「俺は冒険者ギルドの悪徳ギルドマスター~無駄な人材を適材適所に追放してるだけなのに、なぜかめちゃくちゃ感謝されている件「なに?今更ギルドに戻ってきたいだと?まだ早い、君はそこで頑張れるはずだ」
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