15.飛竜がやってきた
俺はソフィア王に、宮廷医師長として任命された。
副官として、ミントがつくことになった。
さて、現在俺がいるのは、宮廷医のいる詰め所、なのだが……。
「う、嘘だろ……こんなにたくさんいるのか……?」
詰め所にいるのは、50人くらいの獣人達だった。
獣人に対する医療だけでなく、魔獣や動物の飼育管理もできるらしい。
「お、俺の苦労は何だったんだ……」
前の職場では獣ノ医師は俺一人だけだったしな……。
「ジーク様には彼ら50人の指揮を執ってもらいます。ではまず自己紹介から」
「そうだな。えっと……ジークだ。わからんことだらけなので、みんな色々教えてくれると助かる」
頭を下げると、ワッ……! と歓声が上がる。
「ようこそジーク様!」「あなたのような人を我々は待っていました!」「一生あなたについていきますー!」
なぜか知らんが、俺に対する医師達の好感度がめちゃくちゃ高かった。
「どういうことなんだ、ミント」
「みなジーク様のご活躍をすでに耳にしているのです」
ハクや子供をすくったこととか、ゾロアーを倒したこととか。
「それにゾロアーは酷い上司だったようで、ジーク様にみな期待なさっておられるのです。さすがはジーク様」
「なるほど……みんなの期待に応えられるよう、がんばらねえとな」
挨拶もそこそこに、俺は宮廷医師の仕事の説明を受ける。
だいたい獣ノ医師として俺が行っていたこと(家畜の管理)+獣人の治療らしい。
「しかし……結構広いな獣人国って」
地図を見たところ、俺のいた国よりも範囲が広い。
国営の牧場もそこら中に点在しており、往診にいくだけで一苦労だ。
「飛竜は飼っていないのか?」
「それが獣人国では、飛竜を……というか魔獣をテイムしていないのです」
「え、なんで? 魔法使えるし便利なのに」
「魔獣を手懐けるすべをわれらが持っていないのです」
「そうか……ううむ、飛竜がいないとなると、結構大変そうだなぁ」
そのときだった。
「た、大変だぁ……! 大量のど、ドラゴンが! 庭に!」
叫んだ若い医師とともに、俺は城の外へと出る。
翼を生やした竜達が、庭中に整列していた。
「な、なんですかこのドラゴンたちは!?」
「あれ、おまえら。何してるんだこんなところで?」
俺は飛竜の1匹に近づく。
「あ、危ないですジーク様! そんな得体の知れないドラゴンなど!」
「大丈夫、こいつら、前の職場で管理していた飛竜たちだよ」
ぽんぽん、とクビをなでると、飛竜は目を細めて頬ずりしてきた。
「ひ、飛竜の個体による違いが、わかるのですか……?」
「え、当たり前じゃん。みんな顔つき違うだろ?」
「……さすがはジーク様。わたしには、どれも同じ竜に見えます」
こんなわかりやすいのにな。
「けど、どうしたおまえら?」
すると飛竜のひとりが、口を開く。
『兄貴いぃいいいいいいいいい! 会いたかったよぉおおおおおおおう!』
うぉおお! と飛竜たちが鳴き声を上げる。
「なんでしゃべって……ああ、俺の能力か」
魔獣の言葉がわかるようになったのだ。
『兄貴! お願いだ! おれたちを兄貴のもとで働かせてくれぇい!』
「え、ええっ? どうしたよ、急に?」
俺は飛竜から事情を聞き出す。
・王国の飛竜の管理が最悪。
・掃除もケアもしてくれない。
・飛竜の要望をまるで聞いてくれない。
『もうあの職場はうんざりだ! ってことで全員で辞めてきた!』
『あのクソ医師よりも、兄貴のほうが断然良い!』
『お願いします兄貴! あなたのそばに置いてくれぇ!』
俺はミントに相談する。
こいつらを置く場所や餌代は、国持ちだからな。
「ぜひとも彼らを雇いましょう!」
「いいのか?」
「もちろん! ジーク様の言うことを聞いてくださる飛竜なら、われわれも安心して乗ることができます!」
「そ、そう……」
「しかしさすがはジーク様。飛竜という最強の運び屋をこんなにもたくさん従えるとは。その人徳のなせる技です!」
【※読者の皆さまへ とても大切なお願い】
少しでも、
「面白い!」
「続きが気になる!」
「早く国王たち『ざまぁ』されろ!」
と思っていただけたら下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】に変えて、作品への応援おねがいいたします!
面白かったら星5つ、
つまらなかったら星1つ、素直に感じた気持ちで全然かまいません!
ポイントは今後の更新継続のとても大きな励みになりますので、なにとぞ、ご協力をお願いします!