147.地獄から這い上がってきた男
俺たちの前に現れた、十戒の魔人。
不殺と名乗った男は、かつておれを追放した人物、国王だった。
黒い鎧を身に纏い、俺に対する殺意と敵意を向けてくる。
「おまえ、どうやって……?」
「戻って来たのだぁ……! 貴様をぐちゃぐちゃにしてやるために、【彼】とともになぁ……! 兄弟ぃ!」
国王の頬に、ぎょろりと2つの目玉、そして口が出現する。
「ぎゃはは! ジークぅ……! ひさしぶりだねぇ……!」
「……誰だ?」
「ボクだよぉ! マケーヌだよぉお!」
かつて俺が倒した勇者の男の名前だ。
「国王にマケーヌ、てめえら……グルになってたのか」
「そうだよぉ! ボクは生まれ変わったのさ! 国王と供に、君に復讐するためにねぇ!」
大方ともに俺への憎悪を抱いている。
そこを、ジャマーに利用されたのだろう。
この強い不殺の毒は、俺への呪いに満ち満ちている。
「さぁやろうか兄弟! ともにジークをぶち殺すんだ!」
「おうとも兄弟! 死ねぇえええええ!」
ぶわ……! と国王の体から毒が発生する。
瞬時に広がり、俺の体を溶かそうとする。
俺は聖なる結界を張って防ぐが、国王が俺に突っ込んでくる。
「おうらぁ! 死にやがれぇ!」
国王の手には漆黒の剣が握られていた。
それを勇者の剣技を使い、攻め入ってくる。
受け止めようとしたが、俺は危機を察知してかわす。
「良く避けたじゃないかぁ! その邪剣に触れたら最後よぉ!」
なるほど、不殺の力が凝縮された剣、ってわけか。
「ぐひゃははは! どうしたどうした! 逃げてばかりじゃあないかぁ!」
国王が連撃を放つ。
俺はかわし続けた。
「いいぞぉ兄弟ぃ! 押せ押せぇ!」
「くはははぁ! 気分が良いぞぉ! 圧倒的な力を持つジークを翻弄しておる! わしが! このわしがだぁ!」
俺が立ち止まり、国王は邪剣を振り上げる。
「とどめだぁあああああああああ!」
俺は国王の邪剣を右手で掴む。
「な、なにぃ!?」「は、はっ! 掴んだなぁ! 終わりだ! てめえは毒で死ぬ!」
俺はグッ、と右手に力を込め、邪剣を破壊する。
「「んなっ!?」」
驚く国王の頬に、俺は右手で殴りつける。
「「ぐぇええええええええええ!」」
バウンドしながら、国王達は吹っ飛んでいく。
「解析は完了した」
俺は倒れ伏す国王達を見下ろしながら、言う。
「俺のターンだ」
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「俺は冒険者ギルドの悪徳ギルドマスター~無駄な人材を適材適所に追放してるだけなのに、なぜかめちゃくちゃ感謝されている件「なに?今更ギルドに戻ってきたいだと?まだ早い、君はそこで頑張れるはずだ」
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