143.ジャマー、焦りまくる
魔王ジークが不滅のイモータルを撃破した。
数日後。
魔法で造りあげた、異空間にて。
「まずい……! まずいまずいまずぃいいいいいいいいいいいいい!」
白い空間には、十戒の残りのメンバー、およびジャマーがいる。
「10体いた十戒も、今や残り6体。しかも魔王以外でもやられるとは……! くそ! 想定外だ! なんて化け物じみたやつなんだ、魔王ジークぅうううううう!」
魔王国の強さは、結局魔王ジークを源としている。
部下ですら魔人を屠れる。
それくらい強い力を与えることができる。
……魔王ジークの恐ろしさを、4体の魔人の死をもって、あらためて痛感させられた。
それは十戒達も同様だったらしく、残る魔人達の表情は暗い。
「まずい……まずいぞ……! このまま全滅するようなら、わしが……ルゥザー様に、殺されてしまう……!」
全てを投げ捨て、逃げるという手段もなくはない。
だがそれは最後の手段だ。
魔王ジークも脅威だが、ルゥザーもまた同様、かなりの強さを持っている。
もしこれで自分が逃げてしまったら……必ずつかまり、早晩、殺されてしまうだろう。
「挑めば死に、逃げても死ぬ……くそ! ヤルしかない……やるしかないのだ……!」
ルゥザーは魔人達を見やり、声を荒らげる。
「貴様らよく聞け! もはや我らに残されているのは、残る十戒と、雑魚魔人ども、全兵力を魔王国につぎ込んだ総力戦のみ!」
「そ、そんな……」「無茶ですよ……」「強すぎます相手は……」
十戒たちはすでに敗色ムードだった。
自分たちもまたジークに殺されてしまうと思うと、足がすくむ。
「ええい黙れ黙れぇええええええ! わしの指揮に異論があるヤツは、いまここでわしが殺してやっても良いんだぞぉ!」
魔人たちも同様に、生殺与奪をジャマーに握られている。
彼が合図すれば魔人は死ぬ仕組みを、最初から組み込まれていた。
『……コロス』
今まで黙っていた魔人が、ぼそりとつぶやく。
『……コロス。ジーク……おまえは……許さない……コロス……コロスぅううううううううううう!』
「おお! 【不殺】よ! その意気だ!」
漆黒の鎧に包まれた男が、殺意をみなぎらせながら吠える。
『ジークぅうううう! ジークぅうううううううううう! オマエの全てを奪ってコロスぅううううううううううう!』
その殺意、その魔力、桁外れだ。
「いける……いけるぞ! 不殺がいればこちらの勝利は見えてくる!」
ジャマーは残る魔人たちを見て言う。
「ゆくぞ! 我らはこれより、不殺を中心として、魔王国に攻め入る!」
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