141.十戒、魔王国の国民をターゲットにする
指揮官ジャマーが、魔王ジークへの恨みを強めてから、数日後。
十戒のひとり、【不滅】のイモータルは、魔王国内に潜入していた。
一見すると人間サイズの鼠だ。
『ふひひっ、アバンもフリズもばかだなぁ、なぁんで強いやつにわざわざ挑むんだよぉ』
イモータルが見やる先には、一般市民たちが、平穏に暮らす姿があった。
『魔王やでかい街を狙うからいけねーんだ。まずは町ひとつずつを、こつこつとだろぉよぉ、なぁ、【兄弟?】』
『そうだなぁ、【兄弟】』
イモータルの周囲には、同じ顔の魔人たちが、すさまじい数いた。
彼の能力は【不滅】。
その効果は無限の分身。
自分と同じもうひとりを、際限なく増やすことができる。
『派手な能力じゃあねえけどよぉ、おれっちは魔人、一般人からすれば十分に脅威。それが数え切れないほど増殖し蹂躙すりゃあ、アッというまに国は滅びるってもんだ!』
『不滅のおれっちが国を滅ぼすなんて皮肉がきいてるなぁ!』
ゲラゲラと笑うイモータルたち。
『では……解散!』
バッ! とイモータルたちは各地へと散らばっていく。
ガサガサ、とネズミたちが大量に走り去っていく様は、黒い津波のようであった。
『じゃあおれっちたちはこの街を飲み込んでやるぜぇ』
イモータルの波が町へと襲い掛かる。
そのまま街ごとのみ込もうとした、そのときだ。
ぼこり! と地面が隆起し、巨大な何かが出現した。
『あたしのジークの国に、何土足で立ち入っているのよ、くそねずみぃいいいいいいいいいい!』
そこにいたのは、元は地竜だった、地岩竜。
SSランクの古竜だった。
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「俺は冒険者ギルドの悪徳ギルドマスター~無駄な人材を適材適所に追放してるだけなのに、なぜかめちゃくちゃ感謝されている件「なに?今更ギルドに戻ってきたいだと?まだ早い、君はそこで頑張れるはずだ」
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