140.ジャマー、魔王子に叱責される
魔王の妹チノが、不燃のアバンを撃破した。
2体の魔人が撃破されたことは、新生魔王軍の、ひいては魔王子ルゥザーの耳に届くことになった。
「ほぅ……なるほど」
玉座に座るルゥザーは、静かに怒りの炎を燃やす。
「つまり……だ。貴様のご自慢の魔人は、魔王はおろか、魔王の妹にも負けたと?」
ぶるぶる……と彼は体を震わせると、
「この、痴れ者がぁああああああああああああああああああああああああ!」
ルゥザーの叫びは島を震わせ、大気をも振動させる。
近くで聞いていたジャマーは気を失いそうになったものの、さらなる醜態をさらそうとするのを、グッと堪えた。
「面目、次第もございません……」
「黙れ……! くそっ! 馬鹿者が! 人間のガキごときに負けよって!」
ルゥザーはジークやチノなど、人間が幅をきかせていることを許容できないのだ。
「あれだけ大口を叩いておいてのこの醜態とは!」
「すみません、まさか……ジークがここまでやるとは思いもよらず……」
「言い訳は無用! 結果を示せ!」
「はは-!」
ジャマーは頭を下げながら、内心で悪態をつく。
魔王の妹ですらあそこまで強くなるなど、想定の範囲外ではないか! と。
「よいかジャマー。残る十戒を使い、なんとしてでも魔王を殺し、あの目障りな国を滅ぼすのだ! できなくば……どうなるかわかっているな?」
彼から感じる圧倒的な殺意の前に、ジャマーはその場で土下座する。
「はい! すみませんルゥザーさま! 必ずや! 魔王めを滅ぼして見せましょう!」
「御託は良いからさっさと行動せよ! この愚鈍な男め!」
何度も頭を下げながら、ルゥザーは部屋を出て行く。
「くそくそくそ……! ジーク……ジークぅううううううう! 覚えていろよぉおおおおおおおお!」
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先日投稿した短編が好評だったので、改稿し、新連載としてスタートしてます!
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