14.国王、竜も馬も言うこと聞かず会議に遅刻
ジークが宮廷医長に任命された、一方その頃。
国王は他国との会談に臨むため、今まさに、国を発とうとしていた。
「まったく、宰相のバカものが。畜生の世話係くらいさっさと見つけられんのか」
やれやれ、とため息をつく。
「まったく、ジークといい使えぬ無能ばかりだ。まあ有能なわしがトップで支えているから国が成り立っているのだろうな」
国王は着替えを終えると、副官を連れて玄関へと向かう。
「王よ、お急ぎください。会議に遅れるわけにはいきませぬゆえ」
「わかっておる。今日の会議は非常に重要な物。万に一つも遅刻するわけにはいかぬからな」
やや急ぎ足で、国王が城外へと出る。
「む? おい、竜車はどうした?」
竜車とは、飛竜数体で空を飛んで移送するものだ。
しかし国の所有する飛竜が、1体も見当たらない。
「お、恐れながら……王よ」
竜騎士が、気まずそうな顔で言う。
「竜車は、使えませぬ」
「なにっ? どういうことだ!」
国王は竜騎士の襟首を掴んで声を荒らげる。
「じ、実は今朝……飛竜が、竜舎からすべて、いなくなってしまったのです」
「なっ!? ば、ば、ばかなことを言うな!?」
「嘘ではありませぬ。今朝竜に乗ろうとしたら、1匹残らずおりませんでした……」
さぁ……と国王は血の気が引いたような顔になる。
「ま、まずいぞ! 飛竜が使えぬなら会議に間に合わぬではないか!」
飛んでいくこと前提だったので、スケジュールが大幅に狂ったことになる。
「し、しかたない……おい! 馬車だ! 馬車を出せ!」
「そ、それが……馬車も出せませぬ」
「なんだってぇえええええええええ!?」
真っ青な顔で国王が叫ぶ。
「なぜだ!? どうして!? 馬もいなくなったのか!」
「い、いいえ……そうではないのですが……」
「ならばさっさと馬を連れてこいこのバカもんが!」
近衛騎士が頭を下げて、いったんいなくなる。
そして……。
「ヒヒーン! ぶるひひひーん!」
近衛数人で馬1頭を連れてきた。
だが馬は首を激しく振ったり、いなないたり、そして蹴飛ばそうとしている。
「なっ!? なんだこの暴れ馬は! もっとましな馬はおらぬのか!?」
「こ、この馬が一番大人しいほうです……他の馬は、手がつけられないほどあらぶっておりますので……」
「ふざ、ふざけるな!? どうしてこんなことになっているのだ!」
「わ、わかりませぬ……」
……国王も騎士達も、気付いていない。
動物たちは、自分を完璧に管理してくれていた、あの獣ノ医師がいなくなったことに抗議しているのだ。
宰相はまだ、新しい獣ノ医師を連れてきていない。
動物たちはその間、管理されず放置されたまま。
ストレスが非常に溜まっているのだ。
「その駄馬でいい! さっさと向かうぞ!」
「む、無茶です……! まともに言うことを聞きません!」
「ええい黙れ黙れ! 馬など鞭でたたけばどうとでも言うことを聞くだろう! ゆくぞ!」
……だが、結局暴れ馬ではまともに道を進むことができなかった。
結果、会議に大幅に遅刻する羽目になってしまった。
「一国の王として、大事な会議に遅刻するとは何事ですかなぁ~」
「まったくですなぁ」
国王は他国のトップ達から、非難と嘲笑を受ける羽目となった。
「くそっ! どうしてこんな目に……! くそぉ!」
……だがこんなのは序の口に過ぎなかった。
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