134.仲間一同キスしてレベルアップ
俺は来たるべき敵に備え、身内たちのパワーアップをはかることにした。
「兄さん、すごいです……わたし、数秒前とはまるで別次元の魔法使いになっています」
彼女は魔法を使っていないのに、体が浮いていた。
あふれ出る魔力量が凄すぎて、チノの体を浮かせているのだ。
「試し打ち……はやめておきます。城を消し飛ばしかねないので」
「マジか。魔力供給だけでそこまでレベルって上がる物なのか?」
「普通は単に魔力をもらうだけです。ですが、兄さんは特別なのでしょう。渡された側がランクアップする効果があるみたいです」
そのときだった。
「じーくぅうううううう…………」
がちゃり……とドアが開くと、体から黒いオーラを漂わせる少女がいた。
「ちーちゃん、どうしたんだ?」
「どーしたんだ? じゃ、ないわよばかー!」
人間の姿になったちーちゃんが、ずんずんずん! と俺の元へとやってくる。
ビシッ! とちーちゃんはチノを指さす。
「この、泥棒猫ー! アタシのジークの唇をうばうなんて! きー!」
「兄さんはあなたのものではありません」
つんっ、とチノがそっぽを向く。
「ジーク!」
「あ、はい」
「あ、ああアタシも契約する……!」
「あ、ああ……わかったよ。チノ、契約魔法の準備を」
チノは露骨に嫌そうに、顔をしかめる。
「あー、なんか急に契約のやり方、わすれてしまいましたー」
「さっさとやりなさいよ! かみ殺すわよ!」
「いいでしょう、返り討ちにしてやります」
バチバチ……! と俺の前で火花が散っていた。
「チノ、頼む」
「はい♡ あなた……じゃなかった、兄さん♡」
「むきぃ~~~~~~~~! ちょおっとキスしたくらいで正妻面するんじゃないわよぉおお!」
ややあって。
準備がととのい、ちーちゃんと俺はキスをする。
「すごい……体が……く! くあぁあああああ!」
その瞬間、ちーちゃんの体が爆発的に巨大化した。
彼女は見上げるほどの巨大な竜へと変貌した。
「べ、【地岩竜】……
SSランクのモンスター、古竜種の1匹です」
地竜はせいぜいがBランクの竜だった。
それが、俺から魔力供給を受けるだけ (キスしただけ)で、古竜に変貌するとは……。
『すごいわジーク! 力がみなぎってくる!』
「さすが兄さん、あっさりと古竜へと進化させるなんて」
「とりあえず、元に戻ってくれ」
ちーちゃんが人間の姿へともどる。
俺は右手で壊れた建物を、元へ戻した。
『おにいちゃん! あたちもー!』
『……しあも』
神獣達が俺にキスを迫る。
『あにきぃ~~~~~~!』
火炎竜を初めとした、魔物達が部屋へと、大量に押し寄せてきた。
『あにきとキスできるんだって!?』『したい! あにきとちゅーしたいっす!』『ばか! わたしがさきよ』『いいや、アタシが先なのよー!』
あっという間に、魔物で埋め尽くされる。
「ウワサを聞いて国民達がみな、兄さんにキスをねだりに来ています」
「すごいわねジーク、大人気じゃない」
いずれは全員に……と思ったが、これはちょっとみんなやらないと、収集つかない感じだな……。
結局、俺はやってきた仲間達全員に、パワーアップを施したのだった。
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