133.妹と契約(キス)しよう
俺は十戒のひとりを倒し、魔王国へと帰ってきた。
『おにーちゃーん! おかえりー!』
自室へと戻ってくると、神獣王の娘ハクが飛びついてきた。
白いモフモフ犬が、ぼすっ、と俺の顔にくっつく。
「ただいまハク。良い子でお留守番してたか?」
『ちょーいーこでしたっ! シアとチノといっしょにまってた!』
妹のチノ、そしてその胸には、青い子竜のシアがいた。
「おかりなさい、兄さん」
「おう、ただいま」
ふと疑問に思ったことを口に出す。
「おまえら、俺の寝室で何をしてたんだ?」
「兄さんのふと……」
「ふと?」
「な、なんでもありませんっ」
ぷいっ、とチノがそっぽを向く。
『……チノちゃん。おにいさん。ふとん。くんかくんか』
『すーはーすーはーしてたよね!』
神獣の子らが無邪気に言う。
かぁ……とチノが頬を赤くする。
「いや……ちが……これは……その……」
「やれやれ、やっぱりまだ子供だなおまえは」
俺はチノの頭をよしよしとなでる。
「もう……子供扱いしないでください……」
チノは照れつつ、しかし唇をとがらせる。
「おまえは子供だろ?」
「……いつまでも兄さんの中では、チノは妹なのですね。はぁ……先が遠いぞ負けるなわたし」
むんむんっ、とチノが気合いを入れる。
「ところで兄さん、どこへ行っていたのですか?」
ベッドまで移動。
俺は魔人兵団、そして十戒のことをチノに話す。
神獣達はツマラナイといって、俺の膝の上で眠っていた。
「なるほど、魔人ですか。となると、この国の防衛を強化しないとですね」
「そうだな。俺が外出しているときに、直接魔人兵団が攻めてくることもありえる」
向こうと違い、こっちの拠点はバレているからな。
「ならば兄さん! ひとつ提案があるのですがっ!」
ふすふすとチノが鼻息を荒くしながら、俺の手を掴む。
「今からわたしとき、キスしましぇんふぁっ!」
「……? なんて?」
「キス、しませんかっ?」
突然のことに俺は戸惑う。
「どういうことだ?」
チノが早口でまくし立てた内容をまとめると、こうなる。
・魔法の一つに、【魔力契約魔法】というものがある。
・対象との間に魔力経路を結び、魔力を片側に供給することができる。
「兄さんは【神魔の心臓】、無尽蔵の魔力を持っています。契約を結べば」
「なるほど、仲間達も俺同様、魔力を気にせず魔法とか使える訳か」
「そのとおり、さすが兄さん、理解が早くて助かります」
ガシッ、と俺の肩をチノが掴む。
「それで、契約を結ぶためにはですね、ね、粘膜による接触がひ、必要なのです」
「お、おう……」
チノは声を上ずらせ、顔を真っ赤にしながら言う。
「わ、わたしとしてはその……だ、男女の夜の営みをするのもやぶさかでも、ないのですがっ!」
「キスにしよう! そうしよう!」
妹と夜の営みなんてしたら、倫理的にアウトだろ……!
「で、では兄さん……ん……」
チノが目を閉じて、俺に唇を向けてくる。
こうしてあらためてみると、うちの妹めっちゃ美人だな。
真っ白な肌に、びっくりするくらい小さな顔。
さらさらの蒼銀の髪に……ドギマギしてしまう。
俺はチノの細い肩に手を置いて、キスをする。
まあ家族同士だし、軽いやつな。
「こ、これは……!」
ごぉおおお……! とチノの体から、凄まじい魔力があふれ出る。
「これが……兄さんの魔力。熱い……力が湧き上がる……! すごい、すごいです……!」
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