132.ジャマー、魔王子の前で大口を叩く
魔王ジークが十戒のひとりを撃破した、一方その頃。
新生魔王軍の本部である、無人島にて。
謁見の間にて。
魔王子ルゥザーの前で、指揮官ジャマーは跪いていた。
「現状を報告せよ、ジャマーよ」
「ははぁ……! こちらをご覧ください!」
ジャマーは手に持っていた水晶玉を掲げる。
光が発生すると、空中に世界地図を映し出す。
各国の土地に、着々と、赤い点が増えていっている。
「この点の部分が侵略完了した新生魔王軍の領地でございます……!」
「ほぅ、なかなかの速度で増えていって居るな」
ルゥザーはご満悦の表情を浮かべる。
「この調子なら近日中に世界を手中に収めることも可能かと!」
「くく……大口を叩くではないかジャマー。大きな理想を掲げる男は嫌いではないぞ」
「理想、ではございませぬ。必ずや、この世界を我が物に変えて見せましょう。わたくしと、そして部下である十戒たちの力を持ってすれば、楽勝でございます!」
自分が作り上げた最高傑作たちがいれば、世界を手に入れることも可能だろうと、本気で信じていた。
「ジャマーよ、引き続き指揮は貴様に任せる」
「ハッ……! かしこまりました!」
ルゥザーに一礼して、謁見の間を出る。
「くくく……十戒どもは良い働きをしている。このノウハウを使い、さらなる最強魔人軍団を作り……いずれは……くくく……!」
この男、腹の中では野心がグルグルと渦巻いていたのだ。
十戒を作り上げたことで、彼は自分の能力に自信を持った。
自分が本気を出せば、世界を征服できるだけの兵士を大量生産できる。ルゥザーすらをも凌駕できる。
表には出さないものの、彼の中では、すでに下克上の図式が完成していた。
「見ておれよ魔王、わしの十戒が貴様を八つ裂きにしてやる……! かつての屈辱を、倍返し……いや、10倍にして返してやるからなぁ……! ひゃーっはっはっはぁ!」
そんなふうに高笑いしながら、ジャマーは自分の研究室へと戻る。
研究員達がジャマーに頭を下げる。
「おい、【例のあれ】の進捗はどうだ?」
「順調です、ジャマー様。こちらを」
実験データの映し出されている水晶を見て、にやり……と笑う。
「くくく……どうやらわしの天下も近いようだなぁ……!」
と、そのときだった。
「じゃ、ジャマー様! 大変でございます!」
研究員が、泡を食ったような表情で、急いでジャマーの元へやってきた。
「なんだ、そうぞうしいぞ」
「じゅ、十戒が! 不壊のアンブレイが、敗れました!」
「だ、誰だ!? 誰が殺したぁ……!」
「それが、魔王ジークでございます……」
ジャマーは手に持った水晶玉を滑らせて、がしゃん! と壊してしまう。
「そ、そんな……やつが……どうして……」
「ジャマー様、ルゥザー様への報告はいかがいたしましょう……?」
部下の胸ぐらを掴んで、ジャマーは叫ぶ。
「このことは黙っておけ、いいな! 決して口外するなよ!」
「し、しかし情報は正確に報告しなければ……」
「口答えするな! 貴様のような下っ端は! 上司たるわしの言うことを唯々諾々ときいておればよいのだ! とっとと仕事にもどらんかいこのウスノロ!」
研究員達はジャマーの不興を買わないよう、そそくさと離れていく。
「十戒を倒した……だと。ふ、ふんっ! 所詮は不壊のアンブレイは、十戒の中で最弱! 次こそは貴様と、そして貴様の大事な国を瞬殺して見せよう! 覚悟しておれよ、ジークぅうううう!」
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