131.神魔の右手
地下洞窟にて、十戒のひとり、【不壊】のアンブレイと俺は戦っていた。
巨大な鎧の騎士のパンチを、拳ごと粉砕して見せた。
『なぁ!? ど、どうなっている! わが能力【不壊】は文字通り、絶対に壊れない最強の鎧のはずなのに!』
相手は腕を失ってバランスを崩している。
俺は右手を、やつの足に触れる。
その瞬間、ボロ……と脚が自壊し、バランスを崩して倒れる。
『あ、ありえん! ありえるわけがないのに! なぜぇ!?』
「それは俺の【神魔の右手】の効果だ」
かつては、触れたもの全てを癒し、傷ついたものを元に戻す能力だった。
しかし神魔王の称号を得たことで、右手はパワーアップした。
「俺が触れている間、相手はスキルや魔法によるステータス上昇など、それらが無かった状態にまで回帰する」
『ば、ばかな!? スキルの無効化だと!? そんなの聞いたことが無いぞ!』
スキル無効化能力を使い、アンブレイの不壊をかき消す。
それがなくなれば、右手本来の、魔を討ち滅ぼす力が使える。
『相手のスキルによる防御を無視し、そちらは一方的に強攻撃を加えるなんて、は、反則だ! ずるすぎるぞ!』
「社会の秩序を守らないおまえら魔人が、どの口をいってるんだ」
俺は逆側の足に触れると、右手の効果でアンブレイの足が消し飛ぶ。
『ひぃいいいいいいいいいいい! ば、化け物ぉおおおおおおお!』
巨大な騎士が、無事な方の片腕を使って、這いずって逃げようとする。
俺はこいつの背中に飛び乗り、相手の腕を消し飛ばす。
身動き一つとれなくなったアンブレイは、情けない声を上げる。
『や、やめて! 助けてぇ! もう人間を襲いません!』
「本当だな?」
『はい! 神に誓って!』
「……信用しよう。敵の本拠地の場所も吐くなら命だけは助けてやってもいい」
『もちろんでございますぅう!』
アンブレイの背中から降りる、と同時に、やつが腹筋の力だけで飛び上がった。
『はっはー! 言うわけないだろ甘ちゃんのぼけがぁ! つぶれて死ねぇえい!』
すさまじい巨体が俺を押しつぶそうと、迫ってくる。
俺は右手を挙げて、やつの体を受け止めた。
『そ、そんなばかなぁ! この重量を人間が持ち上げられるわけがないのにぃい!』
「神魔の右手は俺の体を活性化させ、超パワーを発揮できるんだよ」
そのまま右手の効果を発動させ、能力丸ごと、やつの巨体を消し飛ばす。
『なんという、化け物じみた力だ……魔王ジーク……おそるべし……』
激しい音を立てて、やつは消滅した。
「ジークさま!」
ちょうどそのタイミングで、村人たちが、俺の元へとやってきた。
「若い衆をつれて援軍に来ました……けど、これは……」
「もう全部終わったぞ」
「「「おお! す、すごい!」」」
若い衆たちは俺を見て感心したように言う。
「魔人の集団をものともせず、単独で撃破するなんて!」
「すごい! あなたはまるで救いの神のようだ!」
「「「ありがとうございます、ジーク様!」」」
かくして、十戒のひとりを撃破し、村を救ったのだった。
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