130.十戒との闘い
俺は洞窟に巣くう魔人を倒すため、地下深くへとやってきた。
通路を抜けると、そこは広いホールのようになっていた。
『ぬはははは! よく来たなぁ人間がぁ!』
頭上から、ホールを響かせるほどの大きな声が聞こえる。
見上げると、そこにいたのは、巨大な鎧の騎士だった。
漆黒の、異国情緒あふれる全身鎧を着こんでいる。
「魔人か」
『ただの魔人と、われら【十戒】と同列に語るなよぉ!』
「十戒?」
『新魔王軍にたった10人しかおらぬ最も強き魔人たちのことよ!』
鎧の男は自分の胸をごいんとたたいて言う。
『わしは十戒がひとり、【不壊】のアンブレイだ!』
どうにも自分に自信があるのか、いろんなことをぺらぺらとしゃべってくれるな。
『貴様が偽魔王ジークだな?』
「偽もなにも俺が魔王だよ」
『ほざくな、魔王はルゥザー様ただひとり! 貴様のような小さく脆弱な人間が名乗っていい称号ではないのだ!』
「おまえらの親玉がどんなやつかしらんが、魔王の座は譲る気はない」
『譲らずとも結構! 貴様を殺し、ルゥザー様に献上するだけよ!』
アンブレイは巨大な足を持ち上げて、俺に向かって振り下ろしてくる。
なるほど、でかい図体の割にスピードがあるみたいだ。
やつの一撃をジャンプでかわし、がら空きの腹に、拳をたたき込む。
ごいん! と鈍い音がするも、鎧にはヒビひとつ入っている様子はない。
『ふはは! 無駄無駄ぁ! われら十戒は、それぞれ固有の特殊能力を持つ! わが異能【不壊】は決して壊れることのない、絶対防御の異能鎧! 貴様なんぞの攻撃をいくら受けたとて、壊れることはないのだ! ふははははは!』
なるほど、魔人のトップなだけあって、十戒どもは、それぞれが結構な強い能力を持つのか。
「ちょうどいい、右手の本気を使わせて貰おうか」
神魔王となったことで手に入れた、新たな能力。
最強の鑑定眼【神魔の眼】。
無尽の魔力【神魔の心臓】。
無限の創造力【神魔の左手】。
そして、最後に、パワーアップした【神の手】こと【神魔の右手】。
『ふははは! 何をするつもりだが知らぬがなぁ! この人理をもねじ曲げる【十戒】の力に勝てる物はいないのだよぉ!』
ぐぉ……! とアンブレイが巨大な拳を俺に振るう。
俺はその拳に向かって、真正面から、正拳突きを食らわせた。
右手から放たれる純白の光がやつの腕を包み込む。
ビシッ……! とひび割れると、アンブレイの【不壊】の鎧が砕けるのだった。
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