127.魔人達から村を救う
俺は商人のラルクに、魔人兵団の情報を収集してもらうことになった。
竜達にも協力を仰ぎ、ラルク達は各地で魔人のウワサを集めてもらっている。
ある日の夜。
火炎竜からの、魔族にとらわれた村を発見したと連絡があった。
竜の位置を座標に、俺は現場へと転移する。
小規模の村では、今まさに魔人どもが建物を破壊したり、燃やしたりしている。
『ぐぎゃぎゃ! たのしー! こわすのたのしー!』
『ぐちゃぐちゃにしてやるぜぇ……!』
魔人達の、知性のかけらもないセリフに、俺は顔をしかめる。
魔人の1匹が、倒れ伏す村人を踏みつけようとしたので、俺は近づいてその顔に触れる。
『あ……? あぶべっ……!』
神魔の右手の効果で、魔なるものは触れただけで消し飛んだ。
『ぎゃはは! なにやっで……ひでぶっ!』
近くに居た魔人達を、消し飛ばしまくる。
『お、おい……やべえ! やべーぞ! やべー!』
「黙れ」
周囲に居た魔人どもを消し、倒れている人たちに治癒を施す。
「あ、あなたは……いったい……?」
「俺は通りすがりだ」
ここで魔王というと、彼らの誤解を解くのに時間掛かりそうだからな。
「誰だか知らないが助かった!」
「気にするな。それより現状を教えてくれ」
数時間前に、魔人兵団が村を占拠。
女子供を連れて行き、男達はこうしてオモチャになっているそうだ。
「……むごいことしやがる」
『ぎゃぎゃ! つれてきた! なかまつれてきた!』『これでかちだ!』
異形の魔人たちが、ぞろぞろと雁首をそろえてやってくる。
「き、気をつけてください……! こいつら魔人はかなり強力で、村に居た冒険者を全滅させたほどです!」
「大丈夫だ。それより、負傷者の治療をする。手伝ってくれ」
俺は魔人どもを無視して、治療を開始しようとする。
『うぎゃぎゃ! おれらを無視するとは良い度胸だぁ! 野郎どもぉ! かかれぇえい!』
ボッ……! と魔人の大群が、一瞬で消し飛んだ。
『な、なんだってぇええええええええ!?』
運良く生き残った1匹が、腰を抜かして叫ぶ。
『わ、われら魔人達を……物の一瞬で!?』
「す、すごい……何者なんですか、あなた……?」
キラキラとした目を俺に向けてきたので、「ああまあ」と適当に誤魔化す。
人命最優先だからな。
『ひぃいいい! ば、ばけものぉおおおおおおおお!』
生き残った魔人が駆け足で、俺たちの元から離れていく。
「い、いいんですかあいつ逃がして」
「構わん。どうせ死ぬ」
俺は放っておいて、村人と協力し、負傷者の元へと向かう。
『あはは! ばかめ! おれを逃がすとはな! 仲間を率いて……ひき……ひき……ひぎぎぎ?』
ぶくぶく、と魔人の体が膨張していく。
「どうやら神魔王の体から自然に漏れ出る魔力には、聖なる属性が含まれているんだってよ。それはおまえらにとって猛毒だ」
『そ、そんなぁ……何もせずとも、倒せるなんて……反則だぁ……あ、あ、あべしっ!』
ぱーんっ! と最後の魔人が消し飛ぶ。
「す、すごすぎる……まさに神のごとき強さだ!」
「ありがとう! ありがとう神魔王さま!」
どうやら村人が、さっきのセリフを聞いていたようだ。
「神魔王様のおかげで助かりました!」「神魔王様ありがとぉ!」
ごまかせる雰囲気でもなかったので、俺は放置することにした。
「治療を開始する。ケガ人の許へつれていってくれ」
「「「はいっ!」」」
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「女勇者にダンジョン奥地で殺されかけパーティ追放されたが、触れただけで全てを支配する最強テイマーに覚醒した~今更謝ってももう遅い。元仲間達に復讐≪ざまぁ≫していく~」
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