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121.神魔王《オーバー・ルーラー》



 妖精の国での騒動を終えた俺は、自分たちの国、魔王国へと戻ってきた。


「おかえりなさい、兄さん」


 領土に入った瞬間、真っ先にすっ飛んできたのは、妹のチノだった。


「チノ。ただいま」

「あぁ……久しぶりの兄さんです……♡ 兄さん♡ 兄さん♡」


 チノは俺の体に抱きつくと、スリスリと頬ずりしてくる。


 最近彼女は子供の頃に戻ったように俺に甘えてくる。

 元々彼女はこうだったので、特に驚かない。


「それでまた……兄さん。かなりの大所帯になりましたね」


 俺の背後には妖精達がずらりと勢揃いしていた。


『お初にお目に掛かります、王妃様。わたしは妖精の国の第一王子レイスと申します』


 レイスがぺこりと頭を下げる。


「も、も~♡ 王妃だなんてぇ~♡ わたしは兄さんの妹ですよぅ~♡ 兄さんの可愛いお嫁さんだなんて~♡」


 くねくねと身をよじるチノの頭をなでて、俺は言う。


「こいつはチノ。すっごく頭良くてな。俺の右腕的な存在……いたたたた、なんだよチノ。急に不機嫌になって」


「べ・つ・に! ふんだっ」


 急に機嫌を損ねてしまい、つんっ、とそっぽむくチノ。

 乙女心はわからんな。


「妖精たちがなぜここにいるのですか?」


『わたしども妖精は、魔王様の配下に加わりたく存じます!』


『次元を隔てる壁が壊れちゃったし、ぶっちゃけうちら魔法以外非力ちゃんだからねー。めちゃつよ魔王様の庇護下に居た方がらくっつーわけで、よろしくお願いします姐さん!』


 第一王女リリンが、バッ……! と頭を下げると、妖精達がいっせいに頭を下げる。

『わしも魔王殿の配下にしてもらいたいぞ』


 俺に近づいてきたのは、神獣・麒麟だ。


 それを見たチノが……目を剥いて、しかしフッ……と微笑む。


「まったく、兄さんの規格外っぷりには毎度驚かされますよ」


「怒ってるか? 勝手に国民を増やして」


「いいえ、さすが兄さんだって、感心しているんですよ」


 誇らしげにチノが俺を、そして妖精たちを見やる。


「国民が増えたと言うことは、それだけ兄さんが素晴らしい王ということです。わたしは兄さんの妹であることを、心からうれしく思いますよ」


 さて、うちの財務大臣もオッケーが出たことだし、俺は妖精達を見る。


「今日からよろしくな」

『ということは! 良いのですか我らを配下にくわえてもらっても!』


「配下じゃない。一緒に暮らす仲間だろ」

『『『魔王さま……!』』』


 ワッ……! と妖精達が歓声を上げる。


 と、妖精たちが仲間になったそのときだ。

========

条件を満たしました。


ジーク・ベタリナリーは【神魔王オーバー・ルーラー】へと存在進化します。


========


 突如として、俺の体から、莫大な聖なる魔力が湧き上がる。


「な、なんだこりゃ……?」

『おお、魔王殿よ。ついにおぬしも神クラスの存在となったのだなぁ。さすがだな』


 神獣・麒麟が感心したように言う。


「なんだよ神クラスって……?」

『この世界における存在には、階級が存在する。その頂点に君臨し、絶大な力を持つのが神という存在。それにおぬしはなったのだよ』


 なるほど、神獣王、神竜王たちと同格になったってことか。


「もはや兄さんは神なのですね。すごすぎます、さすが兄さん!」


 何だか知らないが、またランクアップしてしまったらしい。


「ま、なったものは仕方ないな」


 これでまたたくさんの命を救えるのなら、もらっておいて損はないだろう。


「それじゃ、帰るか。みんなで」

『『『おー!』』』


 神のごとき力を手に入れようが、俺のやるべきことは変わらない。


 多くの獣の小さな命を、理不尽に奪っていくヤツらから、大切な国民たちを守っていくだけだ。


 決意と称号を新たに、俺は今日も魔王として頑張ろうと思ったのだった。

【※読者の皆さまへ とても大切なお願い】


ここまでが2章になります!


一区切りとなりますので、ぜひ評価等してもらえると励みになりますし、参考にさせていただきます。


評価は第2章時点での【暫定的な評価】で構いません!(後から変更も可能です!)


「面白い!」

「続きが気になる!」

「今後ももっと悪人は『ざまぁ』されろ!」


と思っていただけたら下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】に変えて、作品への応援おねがいいたします!


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★1巻11/15発売★



https://26847.mitemin.net/i778881/
― 新着の感想 ―
[気になる点] あれ、チノって一緒に妖精国にいったような
[一言] これからは神の手以外も出てくるんでしょうか?(*´꒳`*)神の足とか?神眼とか?
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