118.魔王VS負け犬勇者
俺は妖精の国で、かつて闘った事のある勇者マケーヌと邂逅を果たした。
町はずれの草原にて、俺はマケーヌと相対してる。
「魔王ぅうううう! 殺す、今日こそてめえを殺すぅうう!」
マケーヌは漆黒の鎧、そして大剣を携えている。
彼の体から漂う魔力や、体の中の血の巡り、筋肉の付き具合は、人間のそれとは異なっていた。
「魔人か」
以前鬼たちの国で一度戦ったことがある。
魔なるものの力を秘めた改造人間。
だがあのとき戦ったやつよりプレッシャーを感じる。
「そぉおうだぁ! ボクは魔人! 人間を超越した最強の存在になったんだぁ!」
「まぁ、だから何だって話だがな」
「調子に乗っていられるのも今のうちだぜぇ!」
たんっ! とマケーヌが地面をける。
一瞬で間合いまで入って来る。
「おぅら死にやがれぇえええ!」
大剣による一撃を、しかし俺は飛び上がって避ける。
「なっ!? はや……ぐぇええええ!」
俺の放った蹴りをまともに受けて、マケーヌが吹っ飛んでいく。
空中を蹴って彼に接近し、アッパー、からの吹き飛んだ先へ回って、かかと落としを食らわせる。
轟音と共にマケーヌは地面に激突し、クレーターができる。
「こんなもんか?」
「ぜぇ! はぁ! く、くそがぁ!」
再び切りかかって来るマケーヌ。
だが俺はその場から動かず、やつの一撃を見切って、みぞおちにカウンターをたたき込んだ。
「ふぎやああああああああああ!」
『す、すごい……あんな強そうな相手を圧倒している! さすが魔王様!』
『てかあいつ弱くね? あんだけイキっててさー。ぷぷ、だっせーの』
妖精姉弟が離れたところから、俺たちの戦いを見ている。
倒れ伏すマケーヌの前に近づき、彼を見下ろして言う。
「俺に突っかかって来るだけならまだしも、無関係な妖精たちを巻き込むなんて。許されると思っているのか?」
「えらそうに……! うるせええんだよぉ!」
マケーヌは大剣を手にして、立ち上がる。
「自分以外の奴が死のうがどうなろうが関係あるかよぉ!」
漆黒の大剣に魔力が流れる。
マケーヌから放たれる一撃を、俺は左手で掴む。
「ばっ!? そんなばかな!? 暴食の大剣だぞ!? 触れたものをすべてくらう魔剣を受けて、なぜ平気なんだ!?」
神の手は世界最高の治癒魔法。
食らう速度よりも、神の手で再生する速度の方が早いのだ。
「目障りだな、この剣」
俺は逆側の拳で、大剣の腹を殴る。
ばきっ! と音を立てて剣が壊れた。
中から、食べられたものたちの魂が吐き出される。
『こんなにもたくさんの無辜の民たちが……くっ!』
涙を流すレイスに、俺は言う。
「大丈夫だ。魂があれば元に戻る」
俺は神の手を発動。
死者となった妖精たちに、新たな肉体を与え、そして蘇生する。
『し、信じられない……! 死者すら蘇生して見せるなんて! ありがとう、魔王様!』
『いやー、相変わらず化け物、もといすごい! 本当にすごいっすよおぉ魔王様ぁ!』
剣も自信も折られて、膝をつく勇者。
「そんな……魔人になっても、かなわないのか……ボクは……」
『魔王様ぁ! そんなくそ野郎さっさとぶっころしちゃいましょうよぉ!』
リリンの言葉に、マケーヌが情けない悲鳴を上げる。
「おまえには慈悲を与えん。マケーヌ、覚悟しろ」
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