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116.カタレバ、魔王に尋問される



 魔王ジークが妖精の国で、麒麟を治療した。


 その直後、妖精達の村にて。


 ダークエルフのカタレバは、魔王に片腕をつかまれ、拘束されていた。


「わ、私を殺すのか!? さすが残虐非道の魔王だなァ……! しかし私は何もしゃべらないわよぉ……!」


 カタレバは頑としてしゃべるつもりはなかった。

 魔王に情報を流すくらいなら、殺された方がマシだった。


「殺しはしない。だが情報はしゃべってもらおう」


「ハッ……! 無駄なことを! 死ね……!」


 カタレバは右手に魔力を集中。

 詠唱破棄、上位のエルフ種が使う能力だ。


 威力の高い魔法はそのぶん、呪文など、長い準備が必要となる。

 だがこの能力があれば、どれだけ強力な魔法だろうと、即座に発動が可能だった。


 彼女は極大魔法【煉獄業火球ノヴァ・ストライク】を発動させる。


 地獄の業火の直撃を魔王が受ける。

 自分は水のバリアを張って防いだ。


「いくら魔王だろうと、この至近距離での極大魔法の発動! 防げるわけないわ!」


「そうだな、防ぐ必要も無いな」


「なっ!? なんですってぇえええ!?」


 魔王は極大の炎を受けてもかすり傷一つ負っていなかった。


『うっひょー! マジすげえ魔王様! 素の魔法防御力が高すぎるから、極大魔法を受けても無事なんすねー!』


 それを聞いてカタレバは愕然とする。


「そんな……化け物なの、あんた……」

「質問だ。おまえの雇い主と仲間の情報を教えろ」


「だ、誰が言うもの……ガハッ……!」


 魔王はカタレバの腹部を殴る。

 体を【く】の字に折り、衝撃が全身を走る。


「げほっ! がはっ! はぁ……! はぁ……! はぁ……!」


「もう一度聞く。敵の、数と戦力は?」


「い、言うものか……絶対に……!」


「手荒なまねはしたくないんだ。さっさと話せ」


「貴様の命令を……誰が、聞くものかァ……!」


 カタレバは右手に魔力を集中させる。

 魔力は魔法に使われるだけでなく、一点集中することで、身体強化も可能となる。


 ダークエルフは人間やエルフを超越する魔力量を持つ。

 残りの魔力をすべて右手の一点に集中し、カタレバは魔王に手刀を繰り出す。


「死ね!」


 パシッ! と魔王は逆の手でカタレバの手刀を受け止める。


「そ、そんな……! 魔力で強化した一撃を防ぐなんて……!」

 

 しかも魔王は身体強化を行っていない、素の力で止めたのだ。


 手を離し、魔王はカタレバのみぞおちに貫き手を放つ。


「げほっ!」


 くたぁ……と彼女はその場に崩れ落ちる。

 魔王は両手を離し、カタレバの拘束を解く。


「敵の、数と、戦力は?」

「はぁ……はぁ……い、言うか馬鹿め! 女だと思って手加減したのが運の尽きよ! 死ね!」


 極大魔法を4つ連続で放とうとする。

 だが……魔法は発動しなかった。


「そ、そんなぁ……! どうしてぇ……!」


「おまえの体内魔力回路を潰した」


「そ、そんな馬鹿なぁあああ!?」


 魔力回路とは、大気中の魔素を取り込み、魔力へと変化する【見えない臓器】だ。


 通常、誰も魔力回路に触れることはできないとされている。


『す、すごい……神の手は魔力回路すらも触れることができるのか……さすが魔王様です……!』


 ジークは生き物の体の構造に精通し、また治す術を心得ている。


 それと同時に、壊し方も熟知しているのだ。


 ダークエルフにとって魔法は必須技能。

 それを使えなくされたとなれば……いくらカタレバとて、抵抗する気力は失せる。


「す、すみませんでしたぁあああああ!」


 カタレバはその場で土下座する。


「逆らって申し訳ございませんでした! 話します、すべてを、洗いざらい話しますぅうううう!」


『うわー、劣勢とみるや否やこの手のひら返しっぷり。ださいわー、ほんとださいわー』


 妖精リリンの言葉に腹が立ちそうになる、だがカタレバはギリと歯がみしながら思う。


 決して寝返るのではない、嘘の情報を流してやる……! と。


 カタレバは新生魔王軍の偽情報を、魔王に伝える。

 どうせ情報の真偽など、魔王のあずかり知らぬことなのだから。


「という感じでございますぅ!」


「……そうか」


「これでいいでしょう!? ちゃんとしゃべったんですからぁ、解放してください!」


 魔王は首を振って、冷たく言う。


「おまえ、嘘をついたな」

「なっ!? 何を根拠に……!」


「俺には相手の嘘を見抜ける。呼吸数、発汗具合、体温、そのほか諸々。知性ある生き物は、嘘をつくとどうしても微弱な変化が出るものだからな」


 カタレバは魔王ジークの技能の幅広さに驚愕していた。

 壊す、治す以外のすべも、彼は持ち合わせていたのだ。


「嘘ついたんだな?」

「ひぃいいいい! こ、殺すのかぁああああああ!?」


「いいや、殺さない。……できれば、この力を使いたくなかったんだが、しゃべる気がないなら、仕方ない」


 ジークはカタレバの頭を掴む。


「【テイム】」


「んぁっ! あぁああああああああ!」


 その突如、カタレバという存在が、180度作り替えられる。


 今までジークに向けていた敵意と悪意が……すべて、好意に変わる。


「はぁ……はぁ……じ、ジークさまぁ~……♡」


 眼をトロンとさせ、魔王を見上げる。

 その顔はまさに、愛しい男を前にした、恋する乙女のそれだった。


「ジークさまぁ~♡ 好き、大好きです……♡」


『こ、これは……テイム。まさかテイマーの技能もお持ちなのですか、魔王様?』

 

「獣医の技能は基本ヒーラーとテイマーを合わせたもの。つまり、やろうと思えばこうして、相手をテイムすることもできるんだよ」


 しかしジークは今日までテイムの技能は使ったことがなかった。


 なぜなら、テイムは相手を洗脳するに等しい行為だからだ。


 だからジークは技能に頼らず、獣の声を聞き、相手の意思を尊重した方法で動物たちを従えてきたのだ。


『でもテイマーって動物系しかテイムできないんじゃなかったっけ?』


『人間すらテイムできるなんて……すごい、さすが魔王様だ!』


 カタレバの脳内には、ジークに対する愛おしさであふれていた。

 彼に従いたい、彼の役に立ちたい、彼に全てを捧げたい。


 そんな気持ちでいっぱいになっていた。


「こんな力使う前にしゃべって欲しかったんだが……カタレバ。相手の数と戦力を話せ」


「はいっ♡ はいっ♡ なんでも話します♡ はぁあん♡ 魔王様ぁ♡ 大好きぃいいいい♡」

【※読者の皆さまへ とても大切なお願い】


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★1巻11/15発売★



https://26847.mitemin.net/i778881/
― 新着の感想 ―
[一言] 即落ちにもほどがあるだろう(いいぞ、もっとやれ)
[一言] テイムってこんなのだったっけ?(¯∇¯٥)
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