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114.麒麟の治療



 妖精の国の祠にて、封印されていた麒麟のもとへやってきた俺たち。


『ま、魔王様。この麒麟、起きたりしないですか? 嫌ですよ起き上がってがばちょっと食われたら。もう置いて帰りましょ』


『【眠りスリープ】で深く眠っているよ。姉上は黙ってて』


 俺は麒麟の体に触れて、体内に魔力を流す。


『魔王様、何をなさっているのです?』

「体内のスキャニングだ。損傷した箇所や痛んだ臓器を調べている」


『そ、そんなことが可能だなんて……すごい、さすが魔王様だ!』


 ややあって、スキャニングが完了する。


「詳しく調べた結果、麒麟の脳の深くに【小さな歯車】が食い込んでいるようだ」


『え、ええ!? 頭の中に歯車ぁ……! え、それ死ぬじゃん! よく生きてますねこいつ』


「どうやら移植した対象を操る呪いがかけられていた。死なないように高度な呪術もな。相当な呪いの使い手だろう」


 妖精王子レイスはそれを聞いて、信じられない……とつぶやく。


『麒麟の脳内にそんなものが……』

『でもさ、それって誰かが脳に歯車入れたってことっしょ? まさか自分で入れるわけないし』


「ああ。裏で糸を引いている犯人がいるってことだ。だが、それは後回しにして、治療を始めよう」


 レイスは目を丸くする。


『ち、治療って……どうなさるのですか? 頭の中の歯車など、どうやって?』


「そうだな。脳の深いところに歯車が食い込んでいる。けど、直接それを取り除く以外に方法はない」


『ま、まじっすか魔王様ぁ! 無理無理! 脳ってデリケートな器官でしょ? ちょっとでも傷つけたら死んじゃうじゃないっすかぁ!』


『しかも相手は麒麟という未知の獣です。脳の構造だって普通の獣とは異なるでしょう。そんな難易度の高い手術など……できるはずがありません』


 と、そのときだった。


『……魔王。頼む。やってくれ』


 麒麟がうっすらと目を覚まし、俺を見て言う。


『うっひい! 麒麟が起きたぁ! 魔王様やばいっすよ殺されちゃうぶっ殺して下さいよぉ!』


 俺はリリンをつまみ上げて、後へ放り投げる。


「難しい手術だぞ」

『わしは……くっ! このままでは長く持たない。頼む』


「……わかった。俺を、信じてくれるか?」

『……ああ。わしを殺す選択肢もあった。でも貴様はそうしなかった。その強さと心の有り様を、わしは評価する。やってくれ』


 俺はうなずき、右手に魔力を集中させる。

 左手で【眠りスリープ】を発動させて、麻酔の役割をする。


 右手で麒麟の頭に触れて、そのままスゥ……と中に右手を入れる。


『す、すごい……右手だけを霊体化することで、脳を傷つけないようにしてる……!』


『それってすごいのレイス?』


『凄いってもんじゃない……少なくとも、人間にもエルフにも、もちろん妖精にもできない……まさに、神業だ……!』


 霊体、つまり精霊や幽霊といった、肉体を持たないやつらの体のことだ。


 歯車の刺さっている場所まで右手を持って行く。

 右手で歯車に触れて、対象も霊体化。


 そのまま対象を掴んで、右手を引き抜く。

『し、しんじられぬ……痛みが! 嘘のように引いたぞ!』


 手術を終え、麒麟が飛び上がって叫ぶ。


『実に爽快な気分だ! 生まれ変わったような気さえするぞ!』


 麒麟は声を弾ませていななく。


『す、すごい……! すごすぎます魔王様! やはりあなたは素晴らしい御方でございます!』


 レイスが俺の指を握って、ぶんぶんと振る。


『感謝する、若き魔王よ。見事な手術であった。その若さでこの高い医療技術、驚嘆に値するぞ!』


 麒麟が俺のそばまでやってきて、膝を折って、頭を下げる。


「元気になって良かったな」


 俺は麒麟の頭を撫でると、向こうは嬉しそうにいななく。


『よーよー麒麟さんよぉ! うちの魔王様にでっけー恩ができちまったなぁ! どれ体で返してもらおうかぁ~? あいたっ』


 俺はリリンの頭を叩く。


『無論、この恩はおぬしに仕えることで返していこうと思う』


「え? 仲間になるってことか?」


『ダメか?』


「いや、歓迎するよ。よろしく、俺はジーク」


 それを見ていたレイスが、目を輝かせていう。


『我が国を救っただけでなく、麒麟さえも従えてしまうなんて……さすが魔王様です!』

【※読者の皆さまへ とても大切なお願い】


「面白い!」

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★1巻11/15発売★



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