表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺の仕事は異世界調査員!  (現在休載中)  作者: みさご
2章:初めての異世界と仲間
13/223

集落へ救援に

一章は元社畜でフリータースタート。

二章は着任初期で失敗します。

そのため三章が始まるまで暗めの流れが何度かあります。

また初期は設定の為、専門用語が多く出ますが余り気にしないで下さい。

 窓花から、賊が集落を襲撃しているとの知らせがはいる。本来なら窓花が単独でも装甲車を操作できた。


 なのに俺は、わざわざセンサーに幌を被せて出発してしまった。まだ心が成長途中の窓花。人に危害を加えないと信頼できなかった俺の失敗。


 木製の車両止めは踏み越えられる。武装のロックも遠隔で解除できる。だけど、幌でセンサー群を封じ、偽装でも視界をさえぎっている。


 これで集落を守れといっても、目隠しで戦えと言っているような物。装甲車自体は頑丈だが、集落の人を巻き込む恐れが高すぎる。


 恐らく音で賊の襲撃に気づき、ドローンだけ飛ばして知らせに来たのだろう。


 ドローンの視界をつかった装甲車の運転は危険すぎる。今後は間接操作システムを作ろうと思うが、今は無理だ。一先ずドローンは集落に戻し、窓花には偵察と状況把握をお願いする。


「シモンさん! 夜なのに集落の方から明かりや煙が見える!」


 ハッキリ伝えたいが、ドローンの存在は秘密なんだ。シモンさんが気付くように、遠回しに注意をむけさせるしかない。


「なっ! これは賊の襲撃だ、妖魔は火をかけん。早く戻らないと!」


「夜に? あたしは夜目が利くけど、父さんが夜の森を走るのは危険だよ!」


 俺の場合は、多目的ゴーグルの暗視機能で夜でも全く問題がない。


 形状こそスキー用ゴーグルに近いが、両サイドに複数のカメラやセンサーがついておりバッテリーと演算機は背中。夜間でも合成画像が投影される。


 ズームやサーモ、レーザー測距にデータリンク、等々。便利なハイテクの塊。欠点は、必要機能を適格に選択しないとバッテリーがもたない事ぐらい。


「私も夜目が利きます、シモンさんはこれを」

 

 棍棒みたいなマグライトを出して点灯。シモンさんに渡す。シモンさんは明るさに満足し、全員で集落に向かう事になった。


 しばらくして窓花から偵察情報が入る。


 現在住民は(おさ)の家に籠城中。丁度、取引用の鉄と保存食があり、投擲に使え食料もある。その為、士気は高く防戦は上手くいっている、との内容。


 賊の編成は、騎馬3、長槍兵4、弓兵2、歩兵6の計15人。


 指揮官は騎馬で全身鎧。

 残りは皮鎧に金属補強。

 ただし、統一性はない。


 正規兵には見えないが、賊にしては充実した装備だ。見えたと言うことにして、走りながらシモンさんに賊の様子を伝える。


「くそっ! そいつらは例の傭兵だ! ミックスは金にならんが若い女のハーフは売れる。目的は恐らく奴隷狩りと物資の略奪。目的から籠城先には火をかけないと思うが、錬度と装備が違いすぎる。急ぐぞ!」



★集落近くの森の切れ目


「シモンさん、敵が多いから森から射掛(いか)けて釣りだそう。森なら馬も自由に走れない、地の利もこちらにある。最悪でも夜の森なら逃げ切れる」


「判断が早いな。だが釣れるか? 家を盾にされたら何も出来なくなるぞ?」


 残念ながら銃での排除は厳しい。


 狩の練習でMP5Fの残弾が徹甲弾10発のみ。家が盾や目隠しとして利用されれば殆どを打ち漏らす。防弾防刃服も見た目の配慮で胴体のみ、接近戦は相手の方が強い。近距離用のP229ハンドガンでは危険が高すぎる。


 集落が近づき、安心してしまったせいで予備弾薬を残さなかった。服装を気にしすぎて防御力の低下。マガジンは弾薬の錆びを嫌って気密収納庫に保管し、窓花が運べない。早期に自分の甘さを把握できたが同時に窮地でもある。


 直ぐに代案を立てる。


「その場合はシモンさんが賊の注意を引くだけで構いません。その間に私が自走車にのりこみ賊に逆襲します。予想外の大型自走車が現れれば、15人の賊では引くしかないでしょう。その方が被害も少ないかと」


 シモンさんはしばらく考えた後、同意してくれた。だが、ミディアが反対した。戦う気だったのに、隠れていろとシモンさんに指示されたから……


 ミディアの集落を助けたい気持ちも分るが、まだ16歳の女の子。親としては無理からぬ判断だと思う。俺も隠れるよう勧めたがミディアの意思は固い。結局、命令厳守を条件にシモンさんが折れた。


「涼太は集落を守る義理なんかねえのに、すまねえな。それと、娘の事も心配してくれてありがとよ」


「私は自走車に乗り込んでしまえば安全。自走車への道も物陰で暗がりです。かなり力のある自走車ですから賊ごと跳ね飛ばしてやりますよ。それよりお二人供、絶対に森から出ないでくださいね!」


 流石に心配し過ぎたせいか、ミディアがふくれてしまった。


 積極的には動かないで欲しいのだが…… ミディアの決意は固い。それにもう、意地になっている。


「そんなに心配しないでよ、森の中からなら絶対見つからないから!」


「慢心するな! 俺たちは注意を引き付けるだけだ。涼太、自走車が動いたら任せていいんだな?」


「はい、援護の必要もありません。位置を悟られる恐れがあるのでマグライトは消しましょう。集落の火事でこの位置からでも賊が見えています。自走車が動いたら安全な場所で日本国の技術をお楽しみください」


 2人の矢が少し心もとないが作戦決行。賊に魔導を使える者はいない、装甲車さえ動けば、魔導のない前時代の武装集団など物の数ではない。


 2人は牽制だけ、自走車が動き出せば安全な場所に逃げてもらう段取り。


 慎重に進めれば危険は最小限に抑えられる作戦だと思う。俺は所定の位置に進み、到着して合図を送る。同時に2人の射撃が始まった。その間に夜にまぎれて装甲車のある納屋に向かう。


 流石に傭兵だけあって、2射目がくる前に家など障害物に隠れた。


 シモン達の奇襲戦果は弓兵2。指揮官を倒せれば勝ちだが、鎧の質がよく射掛けるには位置が悪かった。


 それでも、初撃で弓兵全てを潰せたのは大きい。これで二人が森に逃げれば、賊も反撃したければ森に入るしかなくなった。2人の安全はほぼ確実。俺も安心して戦える。



★ようやく装甲車にたどり着く


「お待ちしておりました涼太様、装甲車に被害は無く万全です。ですが、襲撃を察知しながら何もできず申し訳ありません」


「いや、連絡と偵察は助かった。動けなかったのは俺の判断ミス、窓花の所為じゃない。だが話は後だ。センサーをさえぎる幌や偽装を外して直ぐに出る。RWS7.62mm機銃を任せようと思うが、敵味方の識別に問題はないか?」


「はい、ドローンで識別済み、誤射の心配はありません。お任せください」

 

「モグ、これを外すのを手伝ってくれ」

「モグ!」


 モグも何もできなくて悔しかったようだ。電力で動ける窓花と違い、俺がいないと魔力提供がなく実体化もできない。辛い思いをさせてしまった。


 だけど今からは我慢の必要は無い。これよりは俺達が賊を攻撃するのだ!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
押してくれると作者が喜ぶタグです
一日たてば再度有効に成ります↓

小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ