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俺の仕事は異世界調査員!  (現在休載中)  作者: みさご
2章:初めての異世界と仲間
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妖魔との初戦闘

一章は元社畜でフリータースタート。

二章は着任初期で失敗します。

そのため三章が始まるまで暗めの流れが何度かあります。

また初期は設定の為、専門用語が多く出ますが余り気にしないで下さい。

★翌朝


「おう、準備できたか? この先は妖域という悪い魔素が溜まる場所だ。妖魔がでやすいから気を付けろよ?」


「分かりました。それとミディアに試してほしい()があるのですが……」


「え! あたし? 弩? わかんないけど試す!」


「ああ、腹で押して引く小さいバリスタみたいなやつか?」


「まあ、そうなのですが我が国の新商品でして、現地の猟師さんから使用感を伺えればと思い持ってきました」



 腕力が弱い人用に開発したと説明するとミディアも興味津々。先ず俺が手本にと、木にもたれて左足で鐙を踏む。巻上機から垂れたペダルを右足で踏んで弦を引き、矢をセット。これで装填完了。


 朽ち木を狙って発射したらあっさり貫通した。流石に先端技術で作られた矢だけの事はある。引き抜く際はかなりしなったが、折れる事はなかった。


 ミディアも早速試射。木にもたれる事も無く、立ったまま器用にペダルで巻上。連射も恐ろしく早かった。


「どんな感じですか? 足引きが難しいとか矢が短くて飛びにくいとかは?」


「涼太さんこれ凄い! 足引きには馴れがいるけど父さんの弓より威力もある! 欠点が有るとすれば、遠射にあまり向かないのと巻上機の音かな。けど十分使える。父さん! お願い、これ買って! あたし頑張るから!」


「これぜってぇ高いだろ! 涼太さんよー ちょっと阿漕(あこぎ)じゃねぇか? ミディアも絶対諦めそうにねーよ! こんちくしょう! ……小遣いが減る」


 シモンさんも娘には弱い。しかも娘が何時も気にしている強い弓! そんなあなたに耳寄り情報をご提供。


「それは試作品なので流石に売れません。細かい部品が多いので壊れやすく手入れや修理に難がありましてね。重くなりますが、構造が単純で修理可能な値段の安い物を開発中です。巻上機は別売りですけど」


「涼太、人が悪いぜ? 確かにこれは修理できんな、うん! ……でよ、安い型はいつできる? いくらの予定? ……その指は大銀貨か? もう2本減らね? 1本かよ…… なに? 今だけ巻上機付き…… 買った!」


 どうやら父の威厳は保たれた。靴に釣られて弩を買わされたと嘆いているが、娘の独り立ちに目途がつき、言葉の割にはニコニコしている。


 更に、(やじり)をブロードヘッドに取りかえる。現代の狩猟用鏃で中抜きされた3枚の鋭い刃でできた凶悪な代物。


 これにはミディアも大喜び。

 二日目はゴブリン、猪、鹿。

 ついには熊まで仕留めた。


 ゴブリンは妖魔だから埋める。

 けど、他は食いきれるの?


「これすごぉい、ついにあたしも大物狩りだよ! 川に沈めとけば持つって」


「くっ! あの(やじり)を後出しとか、鬼か! 調査員? 商人の間違いだろ! ……どうか魔核と交換でお願いします……」


 魔核は自走車を代表に、旧アレス文明の発掘品ではエネルギー源。物によるけど商品価値が高いのだ。


「流石に売るほどは持ってませんよ。まねていいので自作してください」


 目で催促する娘と、気付かぬフリで目を反らす父。無音の激しい攻防が続く。


「そう言えば鶴嘴(つるはし)がありませんが、鉄鉱石は露出ですか?」


「言って無かったか? 砂鉄なんで磁石で集めるんだよ ……しかし、傭兵の奴ら手抜きしやがって」


 確かに近場でゴブリンや熊に出くわした。シモンさんは移動も砂鉄取りも心配らしく、続行するか悩みだす。なので、俺は小ぶりの麻袋に砂鉄満杯で、ブロードヘッド10個を提案 …………シモンさんは続行を決断した。


 しばらくして、進行方向500m先にオーク3体接近中と窓花からの連絡。


「シモンさんこの先にオークが3です。待ち伏せしましょう」

「オークは優先駆除対象なのに傭兵の手抜きだな、ミディアは後方支援」

「接近妨害だね、わかった」


 今回はMP5F。オークは特別固くは無いが大柄で肉厚だ。俺が半グロと呼ぶ弾を使う事にする。


 弾に切れ目が入っていて、着弾すると弾芯が弾体を押し広げ、(つぼみ)が開くように弾丸が変形。変則的に進みながら体内に大きなダメージを与える。貫通力もそこそこあり、内部破壊に向いた優秀な弾丸だ。


 配置はオークに対して逆三角形で各自散開して待ち伏せ。


 俺はギリーネットを被り、フォアグリップを握りしめた処で味方を確認。ツートップの片方であるシモンさんは普通に上手い。


 驚いた事に後方のミディアがギリースーツ姿でびっくり。よく見ると普通の小枝や蔦だが、草木操作で見事に周囲と溶け込んでいる。


 これが草木操作の擬装か、多目的ゴーグルのサーモ機能が無かったら気づかないレベル。異世界侮りがたし、だが安心もできた。


 いよいよオークが150mあたりまで接近して来た。


〔シモンさん仕掛けます。撃ち漏らしをよろしく〕

〔この距離でか? オークの脂肪は厚いが自信があるようだな、了解〕


 恐らく窓花のドローンが中継処理をしているのだろう。ゴーグルに窓花が計算した着弾予測円が映る。流石はMP5F。9mmパラとは思えない精度だ。


 MP5は拳銃弾を使用している割に命中精度が高いのが特徴。さらに強壮弾を使用するので威力も高い。


 単射に合わせ鳩尾当りを狙う。異世界生物の強さはまだ分からない。だが、青銅の武器や弓矢で倒せるなら、銃も効くはず。


 頭や心臓は骨の強度が分らず不安。首や頭部は外す可能性が高い。なので無難に鳩尾。体の真ん中に近い位置で多少ずれても先ず命中はする。上手く行けば弾丸で心臓周りの血管を切り裂けるし、胃や腸でも致命傷になる。


 消音刻印がグリップから魔力をゆっくり吸い取っていく。無音なので焦らず精確に急所を狙う。オークは最後部、先頭、真ん中順に狙撃していく。


 反動は消えないが伸縮ストックが確り吸収。マズルブレーキも優秀で跳ね上がりもほぼ無い。


 身体強化は必要なかったな。

 強装弾でも所詮9mmパラ。

 射撃反動もMP5なら余裕。


 それでもオーク達の呻きはあった。ほぼ即死だが。


「すげーな涼太、あの距離で一発かよ。しかしエグイ(つぶて)だな…… 体内で変形する仕掛けで内臓をひっかきまわしてやがる。獲物が痛み過ぎて猟には向いてないな」


 通常の得物なら徹甲弾が向いていると思う。今現在、9mmパラは3種類用意している。追加するかは状況次第。


 兎に角、貫通力重視の弾で、近距離なら盾ごと鎧を貫通する徹甲弾。貫通力はやや落ちるが体内破壊を狙った半グロ弾。貫通力は低いが変形が大きく、着弾衝撃と体内破壊力が高いグロ弾。


 徹甲弾なら問題無い様に思えるが、真直ぐ貫通力して損傷が少なく、衝撃も弱い。その為、相手が怯まず戦闘力を残して接近戦となる可能性がある。


 想定される状況を大げさに例えるなら、同じ運動力の太い針とレンガ。


 太い針なら場所によっては即死するが、急所以外は貫通しても止まらない。だが防具があっても貫く。次にレンガ、痛いし衝撃も大きく確実にひるむ。ただし、相手が頑丈であったり、防具で大きく効果が下がる。


 そう言った理由で3種。

 切り替えはマガジン。

 所持比率は出発時に決定。


「うぇー キモ、涼太と父さんで処理してね」

「一応言っときますが、これは戦闘用の礫ですから」

「それじゃあ魔核と背油だけ取って土をかけよう。埋めてもどうせ獣が掘る」


 その後も何度かゴブリンやオークと遭遇したが、予想より弱かった。


 川岸の砂場での砂鉄集めも終わり、帰りは順調。日が暮れたので野営をしているが、集落に結構近い。無事終わると安心して眠ろうとした。だが、窓花から緊急連絡がはいる。


『集落が賊と思われる集団に襲われています! 装甲車は盗難防止の柵と武装ロックで行動不能です。急いで帰還してください!』


 えっ? どういう事?

 賊って…… 山賊か!?

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