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第十一章 打ち切りじゃないよ

 前回は長かったけど、今回は短いです。

 黒幕と目されていたヨナス・ティッセンが殺された。

 ヨナスを始末したゾルタン、改造人間を作っていたエッボは生き残ていたベテラン使用人とメイドたちを引き連れ姿を消す。

 表向き、ヨナス・ティッセンは失踪とされた。

 新人の使用人とメイドたちには、ヨナスの財産から給金が支払われた、公募にあった金額より、割高で。

 そうするよう書置きと金を用意してあったのだ。おそらくは騒がれたくなかったので、そう処置をしておいたのだろう。

 予定以上の給金が入ったので、新人の使用人とメイドたちはあまり文句も言うことなく、家へと帰って行く。

 取り合えず、あの人たちだけでも守れたことは良かったと、レオンハルトたちは思う。それだけでも、ここへ来た価値はある。



「そうか、ヨナス・ティッセンは黒幕ではなかったか……」

 報告を聞き終えたイーヴォの最初の言葉。

 やっと見つけたと思われたヨナス・ティッセンは黒幕ではなかった、皆のテンションが下がるのも無理は無し。その中でイーヴォは普段とは変わらない、これも年の功か。

 おかけで回復し始める、皆のテンション。

「これで何故、ヨナスがあそこまで改造人間を作ることにこだわったのか、解りました」

 レオンハルトが思った疑問、使用人を公募してまで、改造人間の素体を集めようとした理由。

「一定数の改造人間を作るよう、命令されていたんだ」

 その命令に失敗したから、殺された。

「それじゃ~エッボが黒幕ってことぉ~」

 少し間延びしたような喋り方で尋ねるキコブレンジャー。

「それは、まだ解らない」

 今の正直な気持ち。もう一度、エッボと会えば何か解るかもしれないが。

「エッボはどこへ行ったのか、手掛かりは無いの?」

 目の前で逃げられたディアナ。このままエッボを野放しにしていたら、改造人間を作りつつけるであろう、グンタ―と同じ目に合う人は増え続けて行く。それは何としても防ぎたい。

「奴の手掛かりなら、既に掴んでいるぜ」

 一同の視線がイーヴォに集中。

「使用人やメイドを引き連れた車いすに乗った初老の男。こんな目立つヒントがありゃ、情報も手に入りやすいもんだ」

 ニヤリと笑うイーヴォ、大きなヒントがあったとしても、こんなにも早く情報を手に入れるイーヴォの能力は、流石としか言いようがない。


 掴んだ情報により、エッボがヨナスの別荘に向かったことが解った。

 ティッセン邸の地下にあった施設は、二度と使い物にならなくなる程破壊しておいた。

 かといって安心するのは早すぎる、逃げて行くエッボの様子からして、改造人間を作る施設が他にもあるのは確実。

 この状況下、エッボたちが向かったということは、別荘に改造人間を作る施設があるのだろう。

 エッボが健在であるかぎり、改造人間は作られ続ける。



 夜、レオンハルトがスカルマスクの衣装の調整をしていたら、コンコンとノックの音が聞こえてきた。

 調整の手を止め、ドアを開ける、そこに立っていたのはディアナ。

「ちょっといいかな」

「うん」

 部屋に招き入れる。

 ベットの上に腰を下ろすディアナ、再びスカルマスクの衣装の調整を始めるレオンハルト。

「エッボとは顔見知りなんでしょ、戦えるの?」

 もし自分が同じ立場だったら、多分、戦うことは出来ない。

「僕たちがやらないと、エッボは改造人間を作り続ける」

 葛藤が無かったわけではない、でも自分たち以外、改造人間製作を止めれるものはいない。

 葛藤から逃避せず受け入れ、その上で覚悟を決めた。

「強いのね、レオン」

 つくづく、そう思う。

「僕は、僕たちの出来ること、やるべきことをやるだけだよ」

 一見、女の子にも見えるレオンハルトの顔が、とても頼もしく見え、ディアナにも勇気が沸き上がってきた。


 今度の戦いは通常のフレイルだけで勝てるような甘い物ではない。

 ゴゴブレンジャーは、槌を振るいフレイルの強化改造や新しい武器の製作を始める。

 ドワーフ程にないにしろ、ゴブリンの鍛冶能力はそこそこある。

「次は正念場になるからな、野郎ども手を抜くんじゃねぇぞ」

 リーダーのアカゴブレンジャーの鼓舞に対し、

「「「おぉぉぉぉっ!」」」

 一名を除き、拳を揚げた。

「私は野郎じゃない」

 女の子のピンクゴゴブレンジャー。

「ピンクもしっかりやってくれよ、紅一点」

 ピンクゴゴブレンジャーへ、新たな鼓舞を送るアカゴブレンジャー。

「はい、やったります」

 可愛く拳を揚げる。


 手にした酒瓶をテーブルに置き、イーヴォは椅子に座る。

 用意していた二つのグラスに、それぞれ酒を注ぐ。

「お前の助手が改造人間を作っていたなんてな、全然、気が付かなかったぜ」

 グラスを持ち上げ、一口飲む。

「まぁ、お前のことだ、大目に見てやれと言うかもしれねぇな、だがよ、俺は許せないぜ、お前が守ろうとしたものを汚す奴つは」

 一気に酒を飲み干す。

「レオンハルトはいい孫だな、お前の自慢通りだよ、テオ」


 今夜は決戦に備え、みんな早めに床に就く。


 ベットに寝転がるレオンハルト。

 前世の頃から大好きで憧れていた仮面のヒーロー。異世界転生して改造人間になり、悪の改造人間と戦うことになるなんて思ってもいなかったこと。

 そして敵の改造人間を作っていたのは、祖父の助手をしていた男で顔見知り。

 何とも皮肉な巡り合わせである。

 いくら相手が顔見知りでも、ディアナに言ったように、やるべきことをやる、出来ることをやる、それだけ。

 自分には“力”がある。ならばその“力”でみんなを守って見せる、それがレオンハルトの覚悟。



 早朝、レオンハルトたちは出発。

 みんな同じ思いを持っていた、もうエッボは逃がさない、二度と改造人間製作をさせないと。

 その思いを胸に、ヨナスの別荘へ向かう。

『ここで終わったら、打ち切り漫画の最終回みたいだな』

 なんとなく、そんなことをレオンハルトは考えてしまった。




 次回はクライマックス、決戦になります。

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