表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/20

兄は街中で迷子になる。

朝一番に投稿。

好評なら今後もやりますが、不評ならスパッとやめます。

ヴォルクの女たらしの片鱗をご覧下さい。

発見した男は青年であった。


肌白く、中和的な顔つき。


そこに華奢な体が合わさって、女性に見えてしまう。


担いだ時もその軽さに驚いた。


美しくも壊れそうな。


少なくとも只者ではない。


そして俺は家まで男を連れ帰った後、再び1人で市場に繰り出していた。


「……ったく、普段ソラには安く売るくせに」


というのも彼を発見し、連れて帰っていくうちに夕飯の買い物をし損ねたのである。


そのため回復魔法が使えるソラに看病を任せ、買い物をしているのだが。


「えっと……、パンはどこで売ってるんだ……?」


これが普段料理をしない弊害か。


野菜を買ったのはいいが、他の食品がどこに売っているのか分からない。


それに加えて王都の市場は広大だ。


18才の良い大人が迷子になってしまった。


「ん?ヴォルクじゃないか。何をしているのだ?」


しかし日頃の行いが俺は良かったらしい。


フールが声をかけてきた。


「夕飯の買い出しだよ」


「ほぅ、何を買うのだ?」


「ええっと、パンとか肉とか」


「……ん?パン屋はここまでの道に数軒あっただろう?」


「えっ……」


耳を疑った。


歩いてきた道にはパン屋なんてなかったぞ!?


フールは首をかしげた後、合点がいったように口を開いた。


「ヴォルク、この辺詳しくないのか」


「正直に言うと……」


「いかんぞ、ソラに任せてばかりでは」


「はい……」


「……仕方あるまい。私が案内してやろう」


「いいのか?」


「構わん。食後の散歩だったしな」






この後のフールは凄かった。


パン屋では普段選ばないようなパンの美味しさを教えてくれた。


また肉屋では値段を誤魔化そうとした店主を論破、肉を特別価格で買うことができた。




「いやー!ありがとう!良い買い物ができた!」


「構わない。メンバーの体調管理もしてこそのギルドリーダーだからな」


「フールは良いお嫁さんになるな」


「お、およっ……!」


突然、フールの足が止まる。


どうしたのだろうか?


よく見れば顔も赤いし、熱があるのかもしれない。


「な、なんで手を伸ばしてくるっ!?」


「いや、熱を測ろうと」


「わ、私はソラと違って屈しないからな!」


「……?なんでソラの名前が出てくるんだ?」


支離滅裂な発言。


やはり体調が悪いのかもしれない。


「ちょっとうちで休んでいってくれよ。案内のお礼もしたいし」


それにフールはギルドリーダーをやっていて顔が広い。


もしかしたらあの男について何か知っているかもしれない。


「い、いやしかし……」


「お茶ぐらいご馳走させてくれよ。じゃないと俺の気持ちが収まらない」


「……わかった。お茶ぐらいなら」


「良かった。家ももうすぐだな」


そんな時であった。


「ヴォルクちゃん!」


声をかけてきたのは近所に住むおばちゃんであった。


慌てた様子で捲し立ててくる。


「さっきご飯のお裾分けにいこうと思ったらね、この時間なのに家の電気もついていなくて、おかしいなーと思って入ったんだけど、そしたら」


「ご婦人。そこから先は僕が」


あわあわするおばちゃんの影から出てきたのは。


「さっきの……」


「お兄さんですよね?お伝えしないといけないことがあります」






「妹さんが……拐われました」






保護した男は申し訳なさそうに、下を向くばかりであった。


ご覧いただきありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ