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兄は一瞬の隙を突かれる。

おはようございます。

戦闘シーンです。

「虫けらがぁ!!」


ギベル改めヘルスパイダーが勢いよく前足を振り下ろしてくる。


……でかい図体の割に動きが素早い。


その上床に穴を開けるほどの攻撃だ。


一撃が致命傷になりうるな……これは。


だが。


今のところ攻撃は前足を振り下ろすか体当たりをしてくるだけ。


たとえ他の攻撃があったとしても、注意していれば、避けられる。


「どうした!当たってないぞ蜘蛛野郎っ!」


「貴様ぁ!ちょこまかしやがって!」


ヘルスパイダーは怒り狂ったように足を振り回す。


そう、攻撃は避けられるのだ。


問題はそこじゃない。


「甘いっ!」


大振りした前足を掻い潜り、奴の腹部へ剣を振り下ろす。


先ほどの負傷した騎士から拝借した刃は唸りを上げて、蜘蛛の体を切断した。


……はずなのだが。


「効かんなぁ!!」


こいつ固いんだよなぁっ!


本気で剣振り下ろしたぞこっちは!


それなのに無傷って……。


心、折れそう。


「……まだまだぁ!」


最もしょげている場合ではない。


蜘蛛野郎は忘れているようだが、奴の後ろにはクリス達がいる。


今あっちに攻撃を向けられれば正直言ってフォローできる自身がない。


だから。


たとえダメージを与えられなくても、注意を俺に引き付けられれば十分だ。


「ぐぬぬぅ!小癪なっ!」


奴の足を俺が避け。


俺の攻撃は弾かれる。


共に決め手がない闘い。


徐々にヘルスパイダーはイラついた様子を見せ始めた。


……頃合いか。


「どうした?奥の手あるならやってこいよ!」


あえて挑発するようなことを言う。


というのも蜘蛛型モンスターには代名詞たる技がある。


それは『糸吐き』である。


糸吐きと言っても2種類ある。


1つは名前の通り糸を吐くもの。


もう1つが。


「それならばこれで死ねぇ!」


ヘルスパイダーが吐き出したもの。


それは液体であった。


液体は床や壁に飛び散る。


すると同時に溶け始めたのだ。


「こいつは酸を吐くタイプか……!」


もう1つは酸を吐くタイプ。


もはや固形物ですらないものを吐くのだから完全に名前詐欺である。


これは調べたり、蜘蛛モンスターと実際に戦わないと分からないだろう。


これで敵の奥の手も露呈した。


あとはなんとかしてこいつに攻撃が通じれば……!


「ギュルルルル!」


「っ!?小さな蜘蛛っ!?」


こいつさっきまでいなかっただろ!


周りを見回すと、飛び散った液体が蜘蛛の形になっていく。


なにその技!?


「くそっ!」


幸い柔らかそうな体である。


こいつであれば剣が通る!


……え?


「ぎゃははははぁ!!それはぁ、酸でできてるんだよぉ!」


剣が、折れた。


というより溶けたが正解か。


小蜘蛛を両断した剣は音を立てながら液体化し、刃は半分ほどの長さに。


これではとてもじゃないが使えるもんじゃない。


「おらおらぁ!どうしたぁ!」


こちらに武器がなくなったことでヘルスパイダーは勢いづいてしまった。


城の至るところに酸を吐き出し、自らの小さな分身を増産していく。


飛びかかってくる小蜘蛛。


攻撃手段を失ったら逃げるしかない。


くそっ!このままだとじり貧だ!


嫌な汗が首筋をつたう。


「ギュルルルル!!」


「っ!しまった!」


2匹の小蜘蛛に後ろをとられた。


まずい!溶かされる!


咄嗟に目を瞑った時であった。


「ライトニング!」


「ウィンドカッター!」


……飛び掛かってこない。


うっすらと目を開ける。


そこには黒焦げアンド一刀両断された蜘蛛の死骸。


「これは……」


「お兄ちゃーん!」


この聞きなれた声は。


「誰だぁ!邪魔したのはぁ!」


「うるさい!私のお兄ちゃんに手を出すな!」


後ろを振り返った蜘蛛に指差す少女。


……ヒーローは遅れてやってくると言うが。


うちの場合は妹がやってくるようだ。


ご覧いただきありがとうございました。

明日も8時頃に更新いたします。

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