妹を性的な目で見てしまう。 by兄 『1章スタート』
第一部
兄と妹がバカップルになるまでの道
俺の名前はヴォルク。
セスタリック王国という大陸一大きな国のあるギルドで汗水たらして働いている剣士だ。
両親は既に他界しており妹と2人暮らし。
しかも給料は薄給。
生活費でほとんどなくなってしまう程である。
しかし。
気の置けないギルドリーダーとともに猫の飼い主探しから簡単な魔物討伐まで。
日々バラエティに富んだ依頼を3人で解決している。
楽しいな。
純粋に思うことも多い。
だが。
俺には1つ、悩みがある。
とても重大な悩みである。
少なくとも俺にとっては。
それはもう夜も眠れなくなるほどに。
それは⋯⋯。
妹を、性的な目で見てしまうことである。
⋯⋯。
いや、待ってほしい。
どうか衛兵に突き出すのだけは勘弁してもらいたい。
……ん?
妹に欲情するなんて信じられない、だと?
……言わせてもらうが。
うちの妹めっちゃ可愛いからなっ!!
艶やかで長い茶色の髪!
雪のように白く、泡のように柔らかい肌!
薄桃色で瑞々しい唇!
出るとこ出ていて、性格もいい!
それで!
……えっ?もういい?悪かった?
分かればいいんだ、分かれば。
俺がこんな感情抱いても仕方がないと分かったことで話を戻そう。
俺にとって妹、ソラはこの世で一番大切な存在である。
勿論それは唯一の家族であるから。
兄たるもの、妹は大切だろう?
幼くして両親を失ったからこそ、俺は妹を守る義務がある。
そうこれは美しい家族愛だったのである。
⋯⋯だったのである。
だが近頃。
『お兄ちゃん! おはよう! 』(水浴び後タオル姿で)
『ご飯できたよ! 今回は自信作なんだ! 』
(ハートが描かれたオムライス)
『お兄ちゃん! あーん! 』
これを色白茶髪ロングの美少女が仕掛けてくるのである。
妹よ。
兄の理性を削って何をする気であろうか。
小遣いか。
小遣いが欲しいのか。
⋯⋯まぁ冗談は置いといて。
ともかく年頃の妹が立派な男キラーとなってしまったのだ。
あれを狙ってやっているのならば恐ろしい。
だが俺達は兄妹。
血が繋がっていないというご都合主義なものではないパーフェクト兄妹。
恋仲には到底なることは出来ない。
だが妹は男を仕留める才能を開花させつつある。
ヴォルクしっかりしろ!
兄の威厳を見せろ!
お前が好きなのは年上のお姉さん!年上のお姉さん!
ソラに彼氏ができるまで耐えるんたわ!
耐えろ。
耐えねば⋯⋯。
……もうそろそろ起きる時間か。
理性、持つかなぁ。
捕まりたくないなぁ。
今日も、1日が始まる。
ご覧いただきありがとうございます。
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