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盤上の兵たちは最強を誇るドラゴン種…なんだけどさ  作者: ひるま
[11] 迫撃!トリプルポーン
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-90-:私と同じクラスになったのね

 叫霊(バンシー)ツウラの額から汗が滴り落ちる。


 だがそれは、深夜に降った雨の後の湿気の多さからくるものではなく、気温は少々高めではあるが、それも理由ではない。


 天馬学府では登校時にブーツの着用を校則としているが、特に指定が無いので、人様と横並びになりたくない一心からサイハイブーツを履いてきたことは大いに後悔している。


 だけど、それも理由ではない。


 緊張の瞬間。ツウラは校門に差し掛かろうとしていた。


(だ、大丈夫よね?霜月のヤツ、“法王庁”の政治力で超法規的処置とか何とかを使って入学させてくれたとは言っていたけど、まさか言った明くる日に入学なんて可能なの?警備員に呼び止められてトンボ返りなんてまっぴらゴメンよ)


 昨日、ライクに報告した時に、『高砂・飛遊午の監視をするなら、もう少し近くでさせて欲しい』と願い出たら、あっさりと申請が通ってしまい拍子抜けした。


 霜月神父が“うまく取り計らう”との事だったが、どうも今一つ信用できない。


 セキュリティに引っ掛からないか心配。

 汗が流れ落ちるどころか、心臓もバクバクと高鳴る。


 ゆっくりと静かに息を吐きながら、警備員の顔をチラチラと見やりもって校門をくぐる。


「君、今通った、そこの眼鏡の()、待ちなさい」

 案の定、呼び止められてしまった。


(やっぱり呼び止められちゃったじゃない!次の日に入学なんて、現実的に無理なのよ)

 面倒臭そうに警備員へと向き直った。

 ぶっきらぼうに「はい!?」


「我々は校則に関して君たち生徒に注意する権限を持っていないが、さすがにカラーコンタクトはマズいと思うよ」


 セキュリティは難なくパス!

 しかし、緊張するあまり、瞳の色を変えるのを忘れていた。


 コンタクトレンズを取るフリをして、虹彩の色をビビットピンクから亜麻(あま)色へと変化させた。


「まったくぅ、驚かせやがって…」

 離れ際に呟いた。


 昨日みたいに“潜入”ではなく正式に天馬学府へと入れたというのに、来て早々に目立つ結果に陥れた警備員を逆恨み。


「あ、アンジェリカさん!」男性の声。


「は、はい!」

 慌てて返事をしながら振り向くと。


「ヒューゴさん!女の子の名前を間違えるなんて失礼ですヨ。ねっ、アンジェリーナさん」

 高砂・飛遊午にフラウ・ベルゲン、そして“鈴木くれは”の姿まで!


「お、おはようございます!」

 頭を下げつつ。


(?へ??アンジェリカじゃなかったっけ?前に名乗った時、アンジェリーナだったかしら?え?えぇーッ!?マ、マズいわね…)

 この状況、雑誌や生徒手帳を出して確認する事などできない。


 自信が持てない。ここはフラウを信じるしかない。


 だがしかし、もしかしたら、高砂・飛遊午は自分を魔者だと疑って、“ワザと”カマを掛けてきたのではないか?それが心配だ。


「へぇー、彼女が“津浦”さんか。はじめまして。“鈴木くれは”です。ヨロシクね」

 軽く会釈して見せるクレハを見やって、仲良くする気も無いのを隠しつつ「こちらこそ」


「じゃあ、私たちC組だから」

 手を振りながらクレハたちはツウラの元を去って行った。



 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆



「え?」


(B組って…)

 編入されたクラスは。


「あら、私と同じクラスになったのね」


 クラスはおろか、席までトモエの隣www。


 人狼(ワーウルフ)ロボのマスター、トモエ(本名=貝塚・真珠(かいづか・しんじゅ))と同じクラスにされていた!!


 確かに、気が利いていると言えば利いているのだが…。


 高砂・飛遊午たちと同じクラスだと監視はし易いのだが、常時となると気が滅入る。


 なので、それはそれで胸を撫で下ろしたものの、隣のクラスに加えて、トモエと同じクラスというのも味気ない。


 できれば知っている人のいない、新鮮な気持ちで学生生活を迎えたかった。


 これではモロに任務の続きではないか。


 そう思うツウラは職務に忠実ではない。





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