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盤上の兵たちは最強を誇るドラゴン種…なんだけどさ  作者: ひるま
[6] 魔者たち
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-57-:言葉の暴力は止めて下さいよ!

「キミ、昨日ココミに会っていた生徒だよね?」いきなり訊ねられた。


 その名前には心当たりがある。

 確か、腹痛を訴えて呼び止めておきながら、実際はクレハとヒューゴを探していた人物だ。

 あのあと彼女の腹痛は治まったのだろうか?


「はい。それがどうかしましたか?」

 彼女の知り合いかな?何の警戒心も抱かずに答えた。

 答えを聞いた女性は左手を腰に当てた姿勢でタツローをまじまじと見やった。


「な、何です?」

 見られたら、思わず見返してしまう。と、女性のある点に気付いてしまった。

 女性の胸に二か所、突起が!?ゼッタイ乳首が立っているよね!?アレ。思わず二度見。


「ふふぅーん」女性が不敵に笑った。


「さすがは年頃の男の子だねぇ。見るトコロはちゃんと観てるんだ?」

 まるで自慢するかのように女性は胸を突き出してきたので、思わず目を背けてしまう。


 だが、女性は高揚したような声で。

「キミの視線が私の体を撫で回していると感じると、カラダの中心が熱くなってきちゃうな」


「言葉の暴力は止めて下さいよ!」

 確かに見てしまったのは悪いと思う。しかし、これは断じて痴漢行為ではない。

 言い掛かりも甚だしい!タツローは強く抗議した。


「キミを責めている訳じゃないよ。『男に見られると女はこんな気持ちになるんだなぁ』って発見に感動していたのさ」

 訳の解らない事を言い出した。


「いつからだったかな?“女”である以前に“人”であった事も忘れていたからね。つい」

 困った事に、ホントに訳の解らない事を言い出した。


「あの、僕に何か用ですか?」

 早々に立ち去りたい。ただそう思う。


「アタイの仲間がね。いや、あんな人を食ったようなピンクメガネ、仲間でも何でも無いんだけどね。そいつは正確に人の“霊力”を計る事ができるヤツで、キミの霊力がベラボーに高いって言うのさ。それで、キミと出逢ったココミがそれに気付いていないハズは無いと、キミに警告に来たというワケ」


 頭に一人称が“アタイ”と来たものだから、つい、そっちの方に気を取られてしまい、思わぬ接近を許してしまった。あと1~2歩で自転車を掴まれそうだ。

 警告という穏やかでない言葉に、これは危険だと本能が働いたが、このまま一気に自転車で走り出すか?いや、(かわ)せる自信が無い上に、彼女に背中を見せるのは、それこそ危険に他ならない。


「警告・・ですか」

 一瞬たりとも目を離せない。彼女のディープブルーの瞳を凝視する。


「何も取って食おうとしている訳じゃない。『ココミ・コロネ・ドラコットの話には応じるな』。ただそれだけの警告さ。じゃないと―」

 知らぬ間に彼女の衣裳が変わっていた!

 先程とは異なり、ウロコ状の金属板で編まれた胸当てと腰当て、それに手甲とブーツ姿。頭には魚のヒレみたいなものが両耳についたフェイスガードをしている。

 それ以外は、やはり素肌!うかつにも、それにも気を取られてしまった。


「え?」

 いつの間に?彼女が手にしているのは杖??いや、違う。杖の先から3本の剣が指を3本立てたような形で飛び出したソードステッキだ。

 よく見ると剣の先から血が滴り落ちている。


「どうだい?少しだけ息がし易くなっただろ?」

 一体、彼女は何を言っているのか?解らないが、唇に液体が流れてくるのを感じた。舐めてみると生暖かい。それに血の味がする。血!?

 口元を手で触れて、手を眺めてみる。


 血だ!誰の?この血は一体、誰の血なんだ!?


「あ、あぁ、あぁぁ」

 辿り着いた答えを全力で否定したい。だが、それは叶わない。

 傷口の鼻頭を触れてしまったから。ほんの1~2ミリほど削られただけで、こんなに血が噴き出すものなのか?幸い、鼻腔まで到達していないので、彼女の言う息がし易くなってはいない。


「返事はいらない。ただ、ココミの話に耳を貸せば、この程度じゃ済まされないよ」

 告げる女性の姿が最初に出会った姿に戻っていた。


 い、今のは幻か!?




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