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盤上の兵たちは最強を誇るドラゴン種…なんだけどさ  作者: ひるま
[5] ノブナガの野暮
47/351

-45-:そして今回はチェスゲームをパクったグリモア・チェスの形で王位決定戦が繰り広げられているという訳だ

 ノブナガは大袈裟に咳払いひとつしてから口を開いた。


「実は平行世界は複数存在していて、それぞれの世界には必ずヒト種が存在しており各々の文明を築いている。しかし、ヒト種とは世界の頂点ではなく、あくまでも“神”と呼ばれる種の糧となる“信仰心”を生み出す存在でしかない」

 出だし早々に、ヒューゴはノブナガに対して疑いの眼差しを向けた。


(昔のPCゲームに、そんな設定のものがあったよな…)


「神は一人に在らず。神と呼ばれる連中にも生存競争なるものが存在していて、自身の信仰心を増やそうと人口を増やす事に勤しむ神、そして他の神の邪魔をするために戦を仕掛けては他の世界の人口を減らしに掛かる神まで存在する」


(あー!間違い無いわ。昔のPCゲームの設定そのまんまやんけ)

 思うも、横槍を入れずに説明させておこう。

 ノブナガという人物は、どうも面倒くさい人物に思えてならない。


「他の世界の人口を減らすためとはいえ、別世界へと侵攻できるほどの文明を発展させるには膨大な時間が掛かる。もしかしたら、それまでに文明が滅亡してしまうかもしれない」

 育成ゲームではよくある、放っておいたら家出もしくは死んでしまうパターン・・。


「そこで利用されるのが偉大なる支配者(グレイトフルルーラー)が用意した魔者(ましゃ)と書いて魔者(モンスター)と呼ばれる者たちなのだ。ワシは便宜上前者で呼んでおるがな」


「ましゃ??そこは普通、魔物(まもの)と呼ばないか?」

 気になる事は即座に質問する。も。


「うつけ者がぁ!彼らはあのような禍々しい出で立ちをしておるが、意志を持った生物であり高い教養も備えておる。本能のままに生きる動物と一括りにするのは彼らに対して失礼であろう!」

 そんなに激しく怒鳴らなくても・・彼に質問するのは慎重にせねば。


「魔者の本来の役割とはゲームバランスを保つ事。すなわち!不正を働いて一気に人口を増やそうと目論む神の元へと次元を超えて送りつけ人口の調整を図る事。しかし、現在では我々のこの世界と同様に、あらゆる世界でヒト種が勝手に戦争を繰り広げては人口を減らしてしまうバグが生じているために、魔者たちの役目は“保留状態”にある」

 何この説明。バグって、ゲームの世界そのものじゃん。


「しかし、魔者たちにとってそれは“とばっちり”でしかなく、神々の都合で異なる世界に送り付けられる事に不満を抱いた彼らは、偉大なる支配者に意思決定を表明する機会と権利を求めた。だが、それにも問題があって、任意で移動できてしまうと行った先の世界があっという間に滅びてしまう危険性をはらんでいる」

 何だか現在世界が抱えている移民問題みたい。


「そこで偉大なる支配者は、魔者たちの、それぞれの種の王を決めさせて互いの主張を戦わせる事を提案した。だが、話し合いで折り合いが付くことなく、結局は武力衝突に発展し、最強を誇る“ドラゴン”種の独壇場となってしまった。そこで、“公平性”を喫するために、それぞれの種に魔道書に召喚できる魔者をエントリーさせて、ヒト種の王位決定戦に便乗するカタチでそれぞれの主張を戦わせる方法を思いついたのだ」

 壮大な神々たちの物語なのに、神々の頂点たる偉大なる支配者が出した妥協案が人間の国の政治(まつりごと)に便乗する事だとは、やけにショボい話である。

それにしても、あの魔導書は亜世界の人間が生み出した物では無く、偉大なる支配者が生み出した物である事に妙に納得がいった。


「そして今回はチェスゲームをパクった(・・・・)グリモア・チェスの形で王位決定戦が繰り広げられているという訳だ」

 散々な言われ様の偉大なる支配者の株は連日ストップ安の大暴落状態だ。



「続いてライクの戦う理由を話そう。彼と彼が従える百鬼夜行の者たちの目指すものは彼らの世界の救済にある。現在、ほとんどの魔者たちは彼らの亜世界にて生息をしており、よって糧となる亜世界の人口は減少の一途を辿っている。その状況を打破するために立ち上がったのが元は人間ないし獣たちの百鬼夜行の王とライクなのである」


「そういう事情なのか。で、ココミの戦う理由は?」

 前振りが長い割に、実にあっさりとしたライクの戦いの理由だと感じた。





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